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ジャパニーズボブテイル

 猫の品種の1つ「ジャパニーズボブテイル」に関する基本情報です。この猫はいったい、いつどこで生まれたのでしょうか?歴史や特徴を写真や動画とともに見ていきましょう!

ジャパニーズボブテイルの基本情報

ジャパニーズボブテイル 写真:ようてい
  • 原産
    日本

  • 短毛・長毛
  • 体重
    3~5.5キロ
  • タイプ
    フォーリン
猫の購入や繁殖の前に  現在猫の購入や繁殖をお考えの方は、日本におけるペットの現状を読んでおくことをお勧めします。保健所や動物愛護センターには、飼い主を待っている猫がいるかもしれません。お近くの里親募集機関もぜひご参照ください。また猫を迎えるときの基本情報に関しては以下のページでも詳しく解説してあります。 猫の購入・入手方法 猫を選ぶときの注意 ペットショップで猫を買う前に

ジャパニーズボブテイルの歴史・ルーツ

 ジャパニーズボブテイルの起源は、約1000年前、大切な仏教の教典をネズミから守るため、中国から輸入された猫だと言われています。まねき猫
 日本について初めて体系的に記述した『日本誌』の著者として有名なドイツのエンゲルベルト・ケンプファー(Engelbert Kaempfer)はこう記しています。「日本人に飼われているのは一種類の猫のみである。その猫は黒と白の大きな斑点を持ち、しっぽはさながら捻じ曲げられて折られたかのようだ。ネズミに対する執着心は皆無で、ただただ女性に抱きしめられてなでられることを無上の喜びとしている…」(1727年)。こうした記述から、1700年代にはすでに短尾の三毛猫が存在していたことがうかがえます。また、「まねき猫」もよくよくみると短尾の三毛猫ですね。
 近代の歴史においては、1968年に、アメリカのブリーダー・エリザベス・フリーレット婦人が3匹の猫を輸入し、日本国外で始めての計画繁殖を行っています。短い尾は劣性遺伝であることが分かっており、また、長毛種は「ジャパニーズボブテイル・ロングヘア」という別品種として扱われます。1970年には愛好会も発足し、1976年にはCFA公認、さらに1992年にはロングヘアが新たに公認されました。アメリカにおいて体型などの改良も加えられ、スマートになったボブテイルは日本に逆輸入され、現在では愛好家も増えています。

ジャパニーズボブテイルの特徴・性格

 ジャパニーズボブテイルの最大の特徴はその丸まった尾で、つけ根から折れ曲がり、伸ばしても10センチに届きません。座っている時はボディに巻きつけ、立っている時はたいてい立てています。ボディは中型のフォーリンタイプで、大きな耳、突き出た頬骨、頬のくぼみ、高い鼻なども特徴のひとつです。毛質は柔らかく、毛色には白、黒、赤などの単色とその組み合わせがありますが、一番人気は三毛です。
 ジャパニーズボブテイルの性格はとても優しく穏やかです。また環境の変化にも強く、賢いのでしつけもしやすいですが、見知らぬ人には少々神経質な一面もあります。猫で見られる短曲尾のバリエーション一覧  2016年、中国・北京大学の研究チームは、短尾を特徴とするジャパニーズボブテイルのしっぽの形状と、東南アジアや中国南部の猫で見られるしっぽの形状とが似通っていることに着目し、両者の間に共通の遺伝子変異があるはずだという仮定の下、しっぽの長さがバラバラな猫を対象とした大規模な遺伝子調査を行いました。その結果、ネコE1染色体上にある「HES7」という遺伝子の変異が曲がり尾の原因であることが判明したといいます。また遺伝子型が「C/T」というヘテロ型のときは軽~中等度の短曲尾、遺伝子型が「C/C」というホモ型のときは重度の短曲尾だったとも。さらに12頭のジャパニーズボブテイルを調査したところ、全頭において「HES7」の変異が見られたそうです。
 こうした事実から、ジャパニーズボブテイルの短尾を作り出しているのは常染色体優性遺伝で伝わる「HES7」である可能性が高いと考えられます。ただししっぽの長さにばらつきがあったことから、優性遺伝子が100%発現するとは限らない「不完全優性」の公算が大です。調査内容に関する詳しい内容はこちらの記事をご参照ください。

ジャパニーズボブテイルのお手入れ・注意点

 ショートヘアは1日1回ブラッシングを、ロングヘアはコーミングもしましょう。

ジャパニーズボブテイルの動画

 以下でご紹介するのはジャパニーズボブテイルの歴史や特徴を解説した動画です。英語ですが、内容はおおむね上で説明したことと同じです。
 ボブテイルという名が付いていますが、アメリカンボブテイルマンクスとは違い、わずかに尾が残っているのが特徴です。声のバリエーションが多いことから「歌う猫」と表現する人もいるそうです。
元動画は→こちら

ジャパニーズボブテイルの病気

 以下でご紹介するのは文献などで報告されているジャパニーズボブテイルに発症しやすい病気のリストです。外国のデータも含まれるため日本の猫には当てはまらない場合もありますが、好発疾患の知識は飼い主にとって重要なため記載しておきます。なお病気に関する詳しい内容や元となっているデータは以下のページで解説しています。ジャパニーズボブテイルに多い病気

脊椎奇形

 脊椎奇形とは、背骨を構成している骨の形状や数に異常がある状態のこと。診断はエックス線やCTスキャン、MRI撮影などを通して下します。根本的な治療法はありませんので、猫も飼い主も障害と付き合いながら暮らしていくことになります。
 2014年、カリフォルニア大学デイヴィス校のチームが21頭のジャパニーズボブテイルを対象としてレントゲンによる詳しい調査を行った所、しっぽが短かったり曲がっていた17頭では全て脊椎の形や数に異常が見られたといいます(→出典)。具体的には以下です。
Jボブテイルの椎骨異常
猫の短曲尾は半椎体や癒合椎によって形成されている
  • 14頭(82.4%)は胸椎が1つ足りない12個
  • 2頭(12%)は頚椎が1つ足りない6個
  • 1頭(6%)は腰椎が1つ足りない6個
  • 短曲尾猫の尾椎は1~20個で平均は16個
  • 屈曲部は根本から遠い場所にあった
  • 屈曲部には半椎骨が多く含まれていた