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猫の皮膚と触覚・完全ガイド~体表面における正常な機能と病的な状態

 野良猫をなでたり飼い猫をマッサージするなど、猫の体を触る前に知っておきたい皮膚や触覚の仕組みについて解説します。

猫の皮膚の基本構造

  猫の皮膚は上から「表皮」、「真皮」、「皮下組織」に分かれており、それぞれが重要な役割を担っています。以下は皮膚の断面と各層の特徴です。
猫の皮膚層~表皮・真皮・皮下組織
  • 表皮 表皮とは皮膚の一番外に位置している細胞の層です。ケラチンと呼ばれるタンパク質の隙間を脂質が埋めるようにしてつなぎ合わせて防水性を保っており、細胞成分としては「角質化細胞」、「ランゲルハンス細胞」、「メラニン細胞」、「メルケル細胞」などがあります。主な役割は「外傷や細菌からの防御」、「色素の産生と紫外線の遮断」などです。
  • 真皮 真皮とは表皮を下から支える屋台骨のような存在です。コラーゲンと呼ばれるタンパク質の間を、弾性繊維(エラスチンやミクロフィブリルタンパク)と呼ばれるタンパク質が縫うように走って全体を形作っています。神経、血管、リンパ管といった組織が存在しているのもこの層で、感覚受容器の大部分はこの層に組み込まれています。
  • 皮下組織 皮下組織とは真皮の下にある層で、主に皮下脂肪から成り立っています。この層に脂肪が付き過ぎた状態が、いわゆる「肥満」です。

猫の触覚

 猫の皮膚には、様々な刺激を脳に伝えるための受容器が15種類ほど確認されています。それらは「機械受容器」、「温度受容器」、「侵害受容器」の3つに大別されます。 The Behaviour of the domestic cat
猫の皮膚受容器
  • 機械受容器 「押す」、「引っ張る」、「叩く」、「なでる」など、皮膚に加わる機械的な刺激を感知する。
  • 温度受容器 「熱い」、「冷たい」など、皮膚の温度変化を感知する。
  • 侵害受容器 「トゲが刺さって痛い」、「薬品に触れてひりひりする」など、皮膚に加わった機械的・化学的侵害を感知し、「痛み」として伝える。
 機械受容器には、刺激に対してすばやく反応するが、すぐに興奮が収まる「RAユニット」と、逆に遅く反応するが、興奮が収まるまでに時間がかかる「SAユニット」とがあります。

猫のRAユニット

 「RAユニット」とは「Rapid-Adapting Unit」のことで、刺激に対してすばやく反応するが、すぐに興奮が収まるという特徴を持った機械受容器のことです。具体的には以下。
猫のRAユニット
  • パチニ小体 圧力に対し非常に速やかに順応し、振動などによく反応する。真皮下層や皮下組織に分布する。 200~400ヘルツの振動に最も敏感。
  • タイプD 2平方センチメートルと言う比較的広い範囲の下毛の動きを感知する。
  • タイプG 上毛10本程度という比較的狭い範囲の動きを感知する。
  • タイプT 3~10本ほどの、「最剛毛」と呼ばれる最も長い毛の動きを感知する。

猫のSAユニット

 「SAユニット」とは「Slow-Adapting Unit」のことで、刺激に対してゆっくり反応し、興奮が収まるのも緩やかという特徴を持った機械受容器のことです。具体的には以下。
猫のSAユニット
  • メルケル触盤 主に表皮に分布し、圧力に対し遅く順応し、持続的な皮膚への圧力によく反応する。皮膚へのストロークに敏感。
  • ルフィニ終末 主に真皮に分布し、圧力に対し遅く順応し、持続的な皮膚の変形などによく反応する。皮膚の伸びに敏感。
  • C-レセプター 200ミリ秒(1秒の1/5)以上の持続的な皮膚への圧に敏感に反応する。猫においては下半身に多く分布しているが、理由はよく分かっていない。

皮膚の病的な状態とは?

 猫マッサージの目的の一つとして、「病気の徴候をいち早く発見する」というものがあります。猫の体表に現れる病的な状態の一例としては、主に以下のようなものがあります。

皮膚に現れる病気の徴候

 猫の皮膚は病気のサインを飼い主に知らせる掲示板のようなものです。猫をマッサージしているとき、もし以下に述べるような徴候が皮膚に見られた場合は皮膚の変化や異常を参照し、場合によっては獣医さんの診察を受けます。
  • あごの下に黒いボツボツ
  • 皮膚をしきりにかく
  • 皮膚から膿が出ている
  • 皮膚にかさぶたができている
  • 皮膚に黒い斑点がある
  • 皮膚の一部が赤く腫れている
  • 皮膚の広い範囲が赤く腫れている
  • 皮膚が臭い
  • フケが多い
  • 皮膚がただれている
  • 皮膚から血が出ている
  • 皮膚にしこりがある

被毛に現れる病気の徴候

 猫をマッサージしているとき、もし以下に述べるような徴候が被毛に見られた場合は被毛の変化や異常を参照し、場合によっては獣医さんの診察を受けます。
  • 部分的な脱毛がある
  • 胴体広範囲の脱毛がある
  • 胴体左右対称の脱毛がある
  • 毛づやが悪い
  • 被毛がべとべとする