トップ猫の手入れとケア猫のシャンプーの仕方

猫のシャンプーの仕方

 猫のシャンプーの仕方について、写真と動画を用いて具体的な手順を解説します。猫の被毛が汚れてしまったり、においが出てきたときなどに応用しましょう。なお、猫の皮膚や被毛の健康チェックに関しては、体の部分的な変化や異常を参照しながら日々行うようにしてください。

猫のシャンプーの必要性

 基本的に、シャンプーをしないと死んでしまう猫はいません。猫をシャンプーする理由は、主として人間との共同生活において支障をきたすからです。ここでいう「支障」とは、具体的には見た目の汚さと臭いとお考え下さい。

猫は水に濡れるのを嫌う

 猫は基本的に体毛や皮膚が水に濡れることを嫌います。この性癖(せいへき)の理由は、猫の祖先と言われているリビアヤマネコ(アフリカヤマネコ)が、昼と夜の寒暖差(かんだんさ)が激しい砂漠出身だからです。ずぶ濡れのまま寒い夜を迎えると、水分が蒸発するときの気化熱(きかねつ)で体温を奪われてしまい、命取りになりかねません。ですから猫は本能的に水に濡れることを嫌うようになりました。シャンプーしようとすると、狂わんばかりの勢いで抵抗するのはそのためなんですね。 猫がシャワーを浴びた後はストレスによって急激に血糖値が上がる  また2002年に行われた調査では、20頭の健康な猫を対象とし5分間のシャワータイム前後で血中成分がどのように変化するのかが検証されました(Rand, 2002)。その結果、血中グルコース濃度に関してはシャワーの前後で「83mg/dL→162mg/dL」、乳酸濃度に関しては「6.3mg/dL→64.0mg/dL」という激増が見られ、20頭中12頭では基準値に戻るまでに90分かかったといいます。また平均グルコース濃度が高い猫ほどストレスホルモンであるノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の濃度も高かったとのこと。このように猫に特徴的な「ストレス性高血糖」が見られることから、シャワーやお風呂が猫にとって好ましくないイベントであることは間違いないようです。

シャンプーが必要となる猫種

 全ての猫に同じ頻度でシャンプーするわけではありません。シャンプーが必要となるのは、おもに以下に述べるような特徴を有した猫です。
シャンプーの必要性が高い猫
  • 長毛種短毛種の場合、猫自身が行うグルーミングによって被毛の清潔感はほぼ保たれますので、シャンプーは必要ないことが多いです。しかし長毛種はセルフ・グルーミングが行き届かず、 汚れが目立ってしまうこともありますので、時々シャンプーが必要となるでしょう。
  • 白猫白い被毛を持った猫も汚れが目立ってしまうので、あまりにも汚れが目に付く場合は、時折シャンプーをしてもよいかもしれません。
  • 太った猫猫が太っている場合、普通の猫なら届くような場所に口が届かず被毛が汚れたままになってしまうことがあります。具体的には股間やしっぽの付け根などです。汚れが毛に絡まったままガビガビに固まっているような場合はシャンプーが必要になるでしょう。
  • 病気の猫・老猫病気や老衰などでいつも通りの毛づくろいができないような場合、被毛が汚れたままになってしまうことがあります。シャワーやシャンプー自体がストレスになるので、できれば控えたいところですが、あまりにも汚れが目立つ場合は入浴した方がよいかもしれません。
  • 避妊手術をしていない猫去勢や避妊手術をしていない猫の場合、繁殖期に伴って「スプレー」と呼ばれる異性誘惑行為を始めます。これは、オスメス関わらず、自分のオシッコを周囲に撒き散らす行動ですが、この時の尿の臭いは通常の尿とは比較にならないくらい臭いです。ですから、不妊手術を施していない猫は、施している猫に比べて、特に肛門周辺の被毛が臭くなる傾向があります。こうした猫もシャンプーの必要があるでしょう。
猫の中でも特にシャンプーの必要性が高いと思われる猫たち。 シャンプーの頻度は、短毛種なら半年に一度、長毛種なら1ヶ月に一度くらいが目安とお考え下さい。もちろん、シャンプーの必要がありそうな猫でも、妊娠中だったり病気や手術のあとの入浴は控えます。また、短毛種、長毛種、毛の色に関わらず、肛門周辺の無駄毛をカットしておくと、しっぽ周辺の衛生を保ちやすくなり、シャンプーもしやすくなります。

シャンプーで猫アレルギー軽減?

 シャンプーは猫アレルギー軽減に多少の効果はあるが、頻繁に行わないと意味がない1997年に発表された研究によると、猫のシャンプーはアレルゲンの1つである「Fel d 1」の減少にある程度の効果があるようです(→Avner, 1997)。
 実験によると、毎週1回の頻度で猫をシャンプー洗いしたところ、5週間後には空気中のアレルゲン量が44%減少し、また毎週1回の頻度で3分間猫を湯船に浸すと、1ヶ月で空気中のアレルゲン量が79%減少したそうです。しかしこうしたシャンプーの効果は長続きせず、空気中のアレルゲン量は1週間で元に戻るといいます。理由は、猫アレルギーの主犯格である「Fel d 1」は、約48時間で元のレベルに戻ってしまうからです。
 猫アレルギーだけれどもどうしても猫と同居したいという場合は、最低週1回(できれば週2回)のペースで定期的に猫を入浴させるという努力が必要なようです。しかし猫は本来水に濡れることを嫌う動物ですので、頻繁にシャンプーすることは、猫の福祉を損なうことにつながりかねません。アレルギーを軽減する方法はシャンプー以外にもたくさんありますので、まずはそちらを試してみることをおすすめします。 猫アレルギーについて
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猫のシャンプーの手順

 以下では猫のシャンプーの手順を簡単に説明しますので参考にしてみて下さい。用意するものは以下です。
猫のシャンプーに必要なもの
  • 大き目のたらいや桶、もしくはペット用のバスタブ
  • 猫用シャンプーやリンス
  • ブラシ
  • 吸水性のよいタオル2~3枚(体全体を拭くため)
  • 吸水性のよいキッチンタオル(細かい部分を拭くため)
  • スポンジ(顔を洗うため)
  • ドライヤー
 以下でご紹介するのは猫のシャンプーの仕方を解説したハウツー動画です。ペット用のバスタブは用いていませんが、全体的な流れはつかめるでしょう。 元動画は⇒こちら

猫用シャンプーの選び方

 人間の皮膚と猫の皮膚のpH(ペーハー=酸性の度合い)は異なりますので、人間用に作られたシャンプーを猫に対して用いると、刺激が強すぎて皮膚炎を起こしてしまう危険性があります。近年は猫向けに作られた専用シャンプーがたくさんありますので、シャンプーを選ぶときは人間用を避け、こうした商品からまず考えるようにします。
 しかし猫向けに作られているにも関わらず、ときどき安全性が不安になるような商品にもしばしば出くわします。具体的には以下です。
有害シャンプー?
  • ジエタノールアミンシャンプーに含まれる成分の中には、一部発がん性が疑われるものがあります。具体的には「ジエタノールアミン」(Diethanolamine, DEA)という物質です。「国際がん研究機関」の2014年度版リストではグループ2B、すなわち「ヒトに対する発癌性が疑われる物質」として分類されています。万全を期す場合は、この物質が成分表に記載されている製品は避けた方がよいでしょう。
  • ティーツリーオイルティーツリーオイル」は犬や猫に中毒症状を引き起こすことが確認されています。シャンプーに含まれているからといって、100%のエッセンシャルオイルを皮膚に塗ったり飲ませたりするのは絶対に避けてください。
  • フェノトリンノミダニ予防シャンプーの中には「フェノトリン」と呼ばれる物質を含んでいるものがあります。過去にアメリカで大規模な中毒事故を起こした前科がありますので避けたほうが無難でしょう。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
 上記したように、猫用に作られているからといって100%信頼できないものもあります。シャンプーを選ぶときはブランドや商品名ではなく、成分に何が入っているのかをしっかりと確かめ、過去に中毒事例が発生していないかどうかを調べておく必要があります。 猫向けシャンプーいろいろ

シャンプー前の体のお手入れ

 被毛に付着したほこりを落としたり、毛が絡まりにくくするため、あらかじめ猫をブラッシングをします。抜け毛を減らしておかないと、お風呂場の排水溝に毛がからまって詰まってしまうかもしれません。 猫のブラッシングの仕方  シャンプーの前に耳掃除も済ませておきましょう。シャンプー中の湯気で耳垢がふやけ、耳の奥に入り込んでしまうと中耳炎の原因になりかねません。なお、シャンプーの途中で耳に水が入ってしまうことも外耳炎の原因になりえます。あらかじめ猫の耳にコットンなどをつめておくとよいでしょう。これはシャワーの音を軽減する耳栓にもなってくれます。終わった後に取るのを忘れないでください。 猫の耳かきの仕方  猫にとってお風呂やシャンプーは大きなストレスになります。水を嫌がって思わぬ抵抗を喰らい、ひょっとしたら飼い主に爪を立ててしまうかもしれません。あらかじめ爪を切っておけば、仮に猫からの反撃を受けても大事には至らないと思われます。 猫の爪切りの仕方

シャンプーの下準備

 まず、お風呂場でペット用のバスタブにぬるま湯を入れ、猫用のシャンプーを適量入れてかき混ぜます。ペット用のバスタブには底に水抜き栓が付いていますが、水を抜いた時に被毛が排水口に絡まないようヘアキャッチャーをしっかり取り付けておいて下さい。
 猫には汗腺(かんせん=汗を分泌する器官)がなく熱中症になりやすいので、お湯をあまり熱くする必要はなく、手を入れたとき「あったかいな」と感じる程度で結構です。また、猫の足が浴槽の中でツルツル滑ってしまわないよう、下にタオルを敷いておくと多少やりやすくなります。
 先述したように、猫の皮脂(ひし=皮膚から分泌される脂分)の成分や皮膚表面のpHは人間と異なりますので、シャンプーは人間用のものや犬専用のものではなく必ず猫専用のものを用いるようにします。 猫に必要なお風呂グッズ

猫の体の洗い方

 入浴前のケアが終わった猫をお風呂場に設置したペット用バスタブに連れていき、シャンプー溶液の中に入れます。

胴体や足

 猫をバスタブの中に体ごと入れ、浅くためておいたシャンプー溶液をまんべんなく体につけます。スムーズに体に広げるためスポンジを用いても構いません。溶液が被毛にしみこんだら、首から胴に向かってよく泡立てながら体をこすっていきます。ブラシを用いても結構です。泡立ちが悪い場合は適宜溶液を追加します。
 首から下に向かって洗ってゆくのは、万が一猫の体にノミがいた場合を想定し、頭部に逃げ込まないようにするためです。背中から腹、腹から足先へと良く泡立てながら体をこすっていきます。この時、足の裏と指の付け根は汚れを見落としやすいので、忘れずに洗ってあげましょう。 猫の体をシャンプーでこするときは上から下へを基本に

しっぽや肛門

 排泄物や臭腺(しゅうせん=臭いを出す器官)のあるしっぽや肛門周辺は念入りに洗います。肛門嚢(こうもんのう=猫の肛門を中心としての4時と8時の位置にある袋状の器官)が膨らんでいる場合は、しっぽを上げておしりを浴槽の外に向け、指で両方の肛門嚢をギュッとつまむようにします。中たまっていた液体が飛び出すことがありますが、かなりの悪臭なのですばやくシャワーで流しましょう。スタッドテイル(尾腺炎=尾のつけ根あたりにある尾腺の皮脂の分泌が過剰となる病気で、去勢をしていないオスの猫に多く見られる原因不明の病気)がある場合は、専用のシャンプーがありますので、それを利用するのもよいでしょう。 猫の尾腺炎 猫の肛門嚢炎 肛門嚢の位置と構造

 顔部分は濡らしたスポンジでひたい・目の周辺・口の周辺・あごなどを拭いていきます。このとき目に水が入らないように注意しましょう。

猫の体のすすぎ方

 すすぎは、耳や目にシャンプーが入らないように注意しながら、ぬるめのシャワーで洗い流します。水の温度は手で触って温かいと感じる程度で熱いお湯はNGです。このときシャワーノズルを体に密着させるようにすると音が小さくて猫を驚かせずに済むでしょう。また、シャンプーのすすぎ不足は、時として皮膚炎の原因になります。シャンプーが地肌に残らないよう、体の上部から下部に向かって後頭部→背中→足という順で、くまなくすすいでいきましょう。なお、顔にシャワーをかけようとすると大変嫌がりますので、シャワーは首までにして下さい。 猫の体シャワーですすぐときは体表面に近い場所に当てる

猫の体の乾かし方

 すすぎが終わったら吸水性のあるタオルなどで猫の被毛を良く拭きますが、こするというよりは、タオルを押し付けて水分を吸い取るといった感じで行ってください。あらかじめタオルを2~3枚用意しておくとよいでしょう。また、顔や指先などの細かい部分は、キッチンタオルなどの吸水性に優れた紙で拭き取るようにします。
吸水性の良いタオルを濡れた猫の体に押し付けるようにする  水分がある程度取れたらドライヤーをかけながらブラッシングをして終了です。猫の耳は高音域に敏感です。ヘアドライアーを近づけると、人間には聞こえない超音波レベルの機械音を感じ取り、暴れるかもしれません。事前にドライヤーの音に慣らしておくと大変楽です。また、水分を飛ばすときには、気化熱で体温を奪われます。猫が寒がってシャンプー嫌いになってしまわないよう、あらかじめ部屋を暖めておきましょう。 猫をドライヤーに慣らす 猫をドライヤーの音に鳴らしておくとスムーズ  ドライヤーは手で持てるハンドドライヤーと、置いたまま使えるスタンド型ドライヤー(もしくはドライヤースタンド)があると使い勝手が良いです。面積の広い体幹部などはスタンド型ドライヤーを用いて大まかに乾かし、乾きにくい顔や足先などはハンドドライヤーを用いて乾かしてあげます。基本的には温風を当てますが、ドライヤーを地肌に近づけすぎるとヤケドをします。自分の手に温風を当てて熱すぎないかどうかを確認しながら、猫とドライヤーの距離を決めてください。
 目の中に直接ドライヤーの風が入らないように注意しながら行いましょう。嫌がるようでしたら、目を手で隠した状態で風を当てます。被毛が充分乾いたら、静電気防止用コンディショナーなどを塗りこみ、ブラッシング+コーミングで終了です。 猫のブラッシングの仕方
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猫がシャンプーを嫌がるとき

 猫が水にぬれることを嫌がるようなときは、代替手段として部分シャンプードライシャンプーといったものがあります。

猫の部分シャンプー

 食事で口周辺の毛が汚れたときや、下痢やスプレーで肛門周辺の毛が汚れたときなどは、全身シャンプーよりも手軽に出来る部分シャンプーという方法があります。
 口周辺なら湿らせたガーゼやタオル、ウェットティッシュで拭き取るだけで充分です。肛門周辺の場合は、猫をお風呂場に連れて行き、ぬるいシャワーをお尻にかけます。シャワーノズルをなるべく体に近づけると洗浄力もアップしますが、衛生上の観点から、ノズルがお尻に接触しないよう注意しましょう。お尻の汚れがしつこい場合は、猫用のシャンプーを軽くつけてこすります。ゴム手袋やスポンジなどを用意しておくと、心置きなく洗うことが出来るでしょう。

猫のドライシャンプー

 猫が水を嫌がって、どうにもこうにもシャンプーに持ち込めない場合は、ドライシャンプーと言う方法もあります。「ドライ」とはすなわち水を使わないという意味ですが、具体的には、泡状の洗浄液が出てくる「フォーミングシャンプー」や、猫の毛に粉をまぶしてからブラッシングする「パウダーシャンプー」などがあります。
 ただし、猫は毛づくろいする際に自分の被毛をなめます。それと同時に被毛に付着しているシャンプー成分も大なり小なりも体内に取り入れますので、安全性が充分確認された原料のものだけをお選び下さい。 猫に必要なお風呂グッズ
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