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猫の歯磨きの仕方

 猫の歯磨きの仕方について、写真や動画付きでまとめました。歯周病など口腔関連の病気を予防するためにも、定期的に歯のチェックをしましょう。

猫の歯磨きの必要性

 人間と同様、ネコにも歯周病はあります。柔らかいフードばかり食べて、歯の隙間に歯垢がたまってしまうことが主な原因です。歯垢が歯石に変化してしまうと、更に歯垢が溜まりやすくなり、結果として歯周病へと発展します。一度歯周病にかかると口臭がひどくなり、人間との共同生活にも支障をきたしますので、飼い主が定期的に猫の口内を歯磨きによってメンテナンスしてあげることが重要となります。 猫の歯周病 猫の歯と名称 猫の歯の名称と本数、および主な役割一覧表

猫の歯の構造と名称

 猫の歯は、歯茎から外に出た「歯冠部」(しかんぶ)と、歯茎の中に埋もれた「歯根部」(しこんぶ)に大別されます。歯茎の炎症である歯肉炎(しにくえん)が生じやすいのは、歯冠部と歯根部の境目に当たる「歯肉溝」(しにくこう)です。この歯肉溝が炎症などによって目減りし、溝が深くなった状態は「歯周ポケット」と呼ばれます。歯がこの状態になってしまうとさらに食べかすや細菌がたまりやすくなり、炎症の連鎖が始まります。こうして発症するのが「歯周病」です。
猫の歯の外面図
猫の臼歯を外側から見た模式図
  • 歯冠 歯冠(しかん)は、歯の中で歯茎から外に飛び出している部分のことです。実際に食物と接触し、噛んだり切ったりするという重要な役割を担っています。
  • エナメル質  エナメル質(Enamel)は歯冠の表面を覆っている硬い外層のことです。96%の無機質と4%の水+有機質で構成されています。哺乳動物の体内で最も硬い組織ですが、強い衝撃には弱く、時に欠けたり折れたりします(歯牙骨折)。
  • 歯肉 歯肉(しにく)とは歯の根元を覆い尽くす上皮組織のことです。「歯茎」と言った場合は、歯肉の中で外側から見える部分を指します。歯冠に隣接し、骨に付着していない部分は「歯肉縁」と呼ばれ、歯肉退縮(炎症で歯肉が目減りした状態)の目安として用いられます。
  • 歯肉溝 歯肉溝(しにくこう)とは、歯冠と歯肉の境目にできる小さな溝のことです。通常は隙間が小さく、細菌の侵入などを防いでくれますが、炎症などでこの溝が深くなってしまうと、食べかすなどがたまりやすくなり「歯周ポケット」と呼ばれるようになります。
猫の歯の断面模式図
猫の臼歯を断面で見た模式図
  • ゾウゲ質  ソウゲ質(Dentin)は70%の無機質、20%の有機物、10%の水分より成り、エナメル質よりは柔らかい組織です。歯を内側から支えることにより、強度を持たせています。
  • セメント質 セメント質(Cementum)は歯の根元にあり、ゾウゲ質の外側を覆う組織のことです。60%の無機質、25%の有機物、15%の水から構成されています。セメント質とエナメル質の境目は「セメントエナメル境」(CEJ)と呼ばれ、歯周病を評価するときの目安として用いられます。
  • 歯髄  歯髄(しずい)は、歯の中心部を通る神経と血管の総称です。歯髄腔という空間の中に納まっています。虫歯がこの歯髄に達すると、神経を刺激して痛みを誘発します。
  • 歯槽骨  歯槽骨(しそうこつ)は歯を支える骨性組織であり、歯槽骨と歯の間は歯周靭帯(歯根膜)というケーブルで支えられています。歯周病が進行すると、歯槽骨にまで炎症が及び、徐々に骨が削られていきます。

猫の歯面蓄積物

 歯の表面に付着するものは「歯面蓄積物」と総称され、「菌膜」(ペリクル)、「歯垢」(プラーク)、「歯石」(ターター)などがあります。日頃のケアを怠(おこた)ると虫歯歯周病になりますので、できれば毎日、猫の歯磨きをするのが理想です。 時間の経過と歯面蓄積物の推移  菌膜は歯を磨いた直後から歯の表面に形成される薄い膜のことで、数百万個の細菌から構成されています。菌膜が放置された場合、約24時間で形成されるのが歯垢です。これは細菌コロニーに唾液、多糖類、細胞成分などが加わって構成されるネバネバした塊のことを指します。さらにこの歯垢が放置された場合、2~3日で歯石が形成されるようになります。これは歯垢にカルシウムやリン酸塩が結合し、石灰化して硬くなったものです。歯面蓄積物の推移を模式的に示すと上図のようになります。歯垢や歯石を口の中に作らないためには、菌膜が形成されてから24時間以内にこれを除去しなければいけないことがお分かりいただけるでしょう。「歯磨きは毎日」とされているのはこのためです。
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猫の歯・口の健康チェック

 以下でご紹介するのは、猫の歯・口によく見られる異常と、それに関連した疾患の対応一覧表です。もし猫の歯・口に以下で述べるような異常や変化が見られた場合は、念のため疾患の可能性を疑い、場合によっては獣医さんに診てもらいます。 猫の歯・口の病気
猫の歯・口の異常と病気
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猫の歯磨きの仕方

 猫の歯を磨く際の具体的な手順を、画像と動画を交えてみていきましょう。

歯に触ることに慣れさせる

指が猫の口に入ると、おいしいものがある、という条件反射を作っておくと、歯磨きがとても楽になります。  猫の歯磨きをするに当たっては、飼い主が猫の歯に触っても噛み付かない程度にしつけておくことが必要となります。成長してからのしつけは時間がかかりますので、噛む力が弱い離乳期頃からスタートするのが理想です。成猫の口の中に指を入れるトレーニングでは、万が一噛まれても大事に至らないよう、最初は厚手の手袋などを着用すると安全でしょう。ガーゼや歯ブラシの先に猫の好きな食べ物の汁などをしみこませ、「指(歯ブラシ)が口の中に入る⇒おいしい!」という条件反射を作ります。 猫を歯ブラシに慣らす

猫の歯の磨き方

猫の歯を磨くときは、薬を飲ませるときと同様、頭を固定しながら親指で上唇をめくるようにします  猫の歯を露出させるには、前や後ろから猫の頭部を上から手でつかみ、上唇を親指でめくり上げるようにします。猫の歯ブラシは、指先にガーゼを巻きつけたり、猫用の歯ブラシを用いますが、人間用の歯ブラシは硬すぎて歯茎を傷めますので、基本的に使わないで下さい。歯石は特に奥歯(前臼歯・後臼歯)につきやすいので、忘れずに磨きます。できれば毎日行うことが理想です。
 人間用の歯磨き粉にはミントが入っていることがあり、マタタビと同じ作用を持ちますのでネコには使用しない方がよいでしょう。歯磨き粉を食べ物と思い込んで、飼い主がいない間にチューブを破って食べてしまうかもしれません。また、人間用キシリトール入りの歯磨き粉も低血糖の原因となるので、犬及び猫には厳禁です。歯磨き粉を使用するときは必ず猫専用のものを用いてください。また殺菌効果を期待してティーツリーオイルを飲ませたり歯に塗り付けるといった行為もNGです。猫用の歯磨き粉には猫が好む味付けがされている物もあるので、猫も抵抗なく歯磨きを受け入れることが出来ます。 猫に必要なお手入れグッズ
猫の歯磨きの仕方
 以下でご紹介するのは猫の歯磨きの仕方を解説したハウツー動画です。人間用のキシリトールは、歯に良いどころか少量でも低血糖を引き起こしかねないため、絶対にNGです。 元動画は⇒こちら

歯石が付いてしまったら

スケーラーという器具を用いれば史跡を除去できることもありますが、専門家に任せたほうが無難です。  歯の表面にこびりついた歯垢が硬くなり、歯石(しせき)になってしまった場合は「スケーラー」(右写真)と呼ばれる道具でケアします。しかしこの方法で取り除けるのは、歯の表面にある大き目の歯石だけで、歯の根元付近にこびりついている頑固な歯石までは取り除けません。一方、動物病院で行う「スケーリング」(歯石除去)は超音波など専用の機器を用いて行いますので、より完璧に近い口腔ケアが可能となります。しかし全身麻酔を掛けなければならないというデメリットもありますので一長一短といったところでしょう。

歯石予防

 猫の歯に歯石が付着するのを予防するには、できれば毎日、最低週一回の歯磨きのほか、歯石が付着しにくいフード、奥歯に垂らすだけで口内洗浄が出来るデンタル用品、猫用歯磨きガムなどを利用する手もあります。 一般的に「歯に良い」とされているデンタル商品については、姉妹サイト「子犬のへや」の中でまとめましたので、あわせてご参照ください。 犬や猫の歯に良いフードとは?(子犬のへや)猫に必要なお手入れグッズ
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