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猫を飼う室内環境の整え方

 猫を迎える際、室内で必要となる設備や道具、および誤飲・誤食リストなどをまとめました。猫にとって住みやすい住空間を整備しましょう。

室内で必要となる設備・道具

 以下は猫を飼う際の室内環境の整え方です。部屋と部屋の間はできるだけ開放し、自由に行き来できるような住空間があるとベストでしょう。

室内設備

 室内で移動することが難しい固定設備の整え方です。ポイントは、猫が接触できないようにする、もしくは猫が接触しても問題が起こらないようにするという点です。 窓辺のゴロゴロスペース・壁に取り付けた腰板・床に敷いたカーペット

 爪とぎで傷が付かないよう、腰板(腰の高さくらいまで板などで壁をカバーしてしまう)を設けるのが理想的です。無理な場合は爪とぎを用意してあげましょう。 爪とぎ一覧

床・廊下

 フローリングだとスリップして猫が足を痛める危険があります。基本的にはタイルカーペットなど、すぐに取替えの出来るカーペットを敷いてあげましょう。騒音防止や抜け毛トラップとしても役立ちます。なお、畳は猫にとってかっこうの爪とぎ場所になってしまうため、和室はペットゲートなどで出入り禁止にします。 猫のサークル・ペットゲート一覧

 しっかり閉めてベランダからの落下事故を防ぎましょう。また、猫は外を眺めてゴロゴロするのが大好きです。窓際に猫用のお座りスペースを用意してあげるとよいでしょう。

お風呂場

 浴槽に湯が張っている状態では、猫が滑り落ちておぼれてしまう危険性があります。浴槽が空(から)のとき以外は出入り禁止にしましょう。 猫が溺れた

キッチン・台所

 包丁やはさみなど鋭利なものや、火、沸騰したお湯、有毒な食べ物など猫にとって危険なものだらけです。ゲートなどで出入り禁止にしましょう。 猫のサークル・ペットゲート一覧

ベランダ

 落下事故を防ぐため、基本的には出入り禁止にしましょう。戸締りをしっかりした上、できればベランダ用のネットを張って事故を予防します。

室内で必要となる道具類

 快適な住空間のために買い揃えておきたい道具類です。新しいものを購入するほか、既存のものをアレンジするのもよいでしょう。 すっぽり入れるベッド・コンセントカバー・電気コードカバー

ベッド・寝床・ハウス

 猫のベッド・寝床・ハウスを設置するときのコツは以下です。
ベッド設置のポイント
  • 快適な温度22度前後の場所
  • 適度な暗さ夜行性の猫は光に敏感なので、適度な暗さが必要
  • 見通しのよい場所外敵に対する本能的恐怖心を和らげる
  • 閉鎖空間段ボール箱など体をすっぽりと包み込むような空間が、猫にとって居心地のよい場所
  • 保護者が近くにいる母猫や母猫代わりの存在(飼い主)のベッドと付かず離れずの場所が落ち着く
猫の睡眠・眠り 猫の欲求

トイレ

 人通りの多い落ち着かない場所や食事の場所からは遠く、同時に寝床からは近い場所が理想的です。また換気のできる場所が望ましいですが、お風呂場においてしまうと砂が排水口に詰まる恐れがあります。 猫のトイレ用品一覧

カーテン

 木目や木目に近い柄は猫の「木登り衝動」をうながすため、なるべく無地を選びましょう。また爪を立てられないように「ロールカーテン」や、最近では消臭効果をもったカーテンなどもあります。

椅子・ソファー

 爪とぎをしたりおしっこをしてもすぐに取り替えができるよう、安めの保護カバーなどで覆ってしまいましょう。

コンセント・電気コード

 じゃれあって遊んでいるうちに感電する危険性があります。コンセントはコンセントカバーで、電気コードはコードカバーなどで覆ってしまいましょう。 猫が感電した

飛んだり跳ねたり運動できる空間

 猫は走り回るよりも、飛んだり跳ねたりする「垂直運動」を好みます。部屋の中に猫が運動しやすい空間を作ってあげましょう。垂直運動のできる住空間・その1 垂直運動のできる住空間・その2 自分で何か作るのが面倒な場合は、市販されているキャットタワーでもいいですし、戸棚やカラーボックスなどのインテリアの配置を工夫して、階段状にするという手もあります。ただし、「猫が安全に降りられる」というのが絶対条件です。 猫用キャットタワー
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誤飲・誤食の注意リスト

 室内において猫が誤(あやま)って飲み込んだり(=誤飲・ごいん)食べてしまう(=誤食・ごしょく)危険性のあるものを、一覧リストで示します。いかにもありそうなものから、まさかそんなものまで?と思うようなものもありますので、猫をこれから飼う方も、もうすでに飼っている方も、是非一度ご確認下さい。なお、猫が口にしてはいけないもの全般に関しては以下のページもご参照ください。 猫の毒となる食物 猫にとって危険な毒物 猫にとって危険な有毒植物

煙草・灰皿

誤飲・誤食に気をつけたいタバコ  猫に限らず人間でもニコチンを口から摂取すると死に至ります。また副流煙による呼吸器系への悪影響を考えると、 煙草を吸わないに越したことはありませんので室内環境から一掃しましょう。

ひも状異物

誤飲・誤食に気をつけたいひも状の長い異物  ひも状の長い物体は腸管内にひっかかりやすく、最悪のケースでは死を招いてしまうこともあります。胃より上でとどまっている場合は、催吐剤や内視鏡で取り出し、腸にまで落ちてしまった場合は、便として自然排出させるか開腹手術で強制除去を行います。おもちゃのひも、釣り糸、毛糸、輪ゴムなどは、必ず猫の手が届かない場所に保管しましょう。

アクセサリーや小物

誤飲・誤食に気をつけたいアクセサリーなどの小物  室内に落としたアクセサリーや小物を猫が間違って飲み込まないように十分注意してください。 特に先のとがったピアスなどを飲み込んでしまうと大変です。

クリップなどの文房具

誤飲・誤食に気をつけたいクリップなどの小さな文房具類  好奇心旺盛な子猫などは、床に落ちているものをとりあえず口に入れてしまうかもしれません。クリップなどの金属を飲み込んで消化器官を傷つけないよう、室内全体をまめに掃除しましょう。

乾電池・ボタン電池

誤飲・誤食に気をつけたい乾電池やボタン電池  猫が電池や磁石などを複数個飲み込んでしまうと、胃と腸がくっついてしまうという漫画のようなことが本当に起こりえますので室内環境から一掃しましょう。またコイン形のリチウム電池に関しては、国民生活センターからもボタン電池の誤飲に注意(PDF)という形で警告が出されています。電池が消化管内に停滞すると、そこから電流が漏出し、わずか1時間程度でも消化管に穴が開くとのこと。

タオルや靴下

誤飲・誤食に気をつけたいタオルなどの布製品  猫が布を噛み千切って飲み込んでしまうと腸閉塞などの原因となります。いらなくなったタオルや靴下などを不用意におもちゃとして与えないで下さい。

洗剤や薬品

誤飲・誤食に気をつけたい洗剤などの化学薬品  猫が容器を噛み切って中身を飲み込むことがあります。最悪の場合は中毒症状を起こして死に至りますので、必ず室内の猫の目の届かないところに保管してください。

コード・ケーブル類

誤飲・誤食に気をつけたいコードなどの通電性のあるもの  猫が絶縁体を噛み切って中の金属コードに触れてしまうと感電します。室内のケーブル類には噛み付き防止スプレーなどを塗って決して口に入れないよう子猫の頃からしつけておきましょう。

ティッシュペーパー

誤飲・誤食に気をつけたいティッシュなど繊維性のもの  猫が興味本位で大量に飲み込んでしまうと、体内で消化されずに目詰まりを起こし、腸閉塞などの原因となります。室内の猫の手の届かないところに置いておきましょう。

人間用のぬいぐるみ

誤飲・誤食に気をつけたいぬいぐるみなどいたずらの対象となるもの  人間用のぬいぐるみは目の部分がボタンでできていたり、背中にファスナーなどがついている場合があります。 猫におもちゃとして与えると噛み千切って飲み込む危険性がありますので、与えるときは猫用のぬいぐるみにしてください。

誤飲・誤食に気をつけたい種  梅干やあんず、桃の種などは一見小さいですが、猫からするとかなり大きなものになります。食道に種子がつまり、呼吸困難やチアノーゼ(酸欠状態)になることもありますので、安易にテーブルの上に放置しないようにします。

串・魚の骨

誤飲・誤食に気をつけたい焼き鳥の串  焼き鳥の串に食べた後のいいにおいがついていたり、食べ残した肉片などがついていると、がっついた勢いで飲み込んでしまうときがあります。また魚の骨も同じ理由で飲み込まれることがありますので、食後はフタ付きのゴミ箱にしっかり入れるようにします。

誤飲・誤食に気をつけたい針  釣り針や縫い針なども危険です。釣り針は抜けないように「返し」がついていますので、食道などに刺さった場合は手術せざるをえないこともあります。また縫い針は胃にまで達してそこに穴を空け、肝臓、肺、心臓などの周辺臓器を傷つけることもあります。特に猫においては、針についた糸をおもちゃ代わりにしていて飲み込んでしまうというケースが多いようです。中には、飲み込んだ針がのどを突き破って脳に達したという症例もありますので、釣り道具や裁縫セットを放置しないよう十分注意しておく必要があります。
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タバコは百害あって一利なし

猫の近くでタバコを吸わないことが基本  タバコの煙は直接的にも間接的にも猫の健康を損ねますので、猫の近くでタバコを吸わないことが鉄則です。タバコから出た煙(副流煙)を非喫煙者が吸い込むことを「二次喫煙」、そして布や皮膚に付着した煙の成分を摂取することを「三次喫煙」、両者を合わせて「受動喫煙」といいます。こうした受動喫煙が人間に対して健康被害をもたらすことは分かっていましたが、犬や猫といったペットに対しても、同様の被害をもたらしうることが分かってきました。具体例は以下。
受動喫煙による猫の健康被害
  • リンパ腫の発症率を高める 猫は煙の成分がたまりやすい床の近くで暮らしているためどうしても二次喫煙のリスクが高まります。その結果、ガンの一種である悪性リンパ腫の発症率も高まってしまいます(→出典)。
  • 口腔がんの発症率を高める 猫は頻繁に毛づくろいするため、被毛にタバコの煙成分が付着していると、こうした有害成分が口腔粘膜を刺激し、扁平上皮癌の発症率を高めてしまいます(→出典)。
 スコットランド・グラスゴー大学が行った調査によると、猫の被毛に含まれるニコチンの総量は、「飼い主が喫煙者」、「猫の近くでタバコを吸う」、「1日10本以上吸う」という因子によって増加することが確認されています(→詳細)。受動喫煙の被害は、喫煙者の家族だけでなくペットにまで及びますので、家庭内において禁煙を徹底することをお勧めします。
電子タバコなら大丈夫? 電子タバコが安全というのは全くの誤解  従来の火を用いるタバコではなく、電子タバコなら大丈夫だろう、と思いがちですが、そういう訳にはいかないようです。イギリスでは2014年にニコチン入りのカートリッジを誤飲した子犬が死亡していますし、日本でも厚生労働省が発がん性物質を含む可能性があるとして調査に乗り出しています。液体であれ気体であれ、電子タバコと言えども安全とは言えないということです。
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見えない化学物質に注意

 室内環境を整える際は、人とペット双方の健康を考え、揮発性有機化合物がなるべく少なくなるよう努めた方がよいでしょう。「揮発性有機化合物」(きはつせいゆうきかごうぶつ, VOC, Volatile Organic Compounds)とは、常温で蒸発し、気体となる有機化合物の総称です。目に見えない状態で室内を漂うこうした化合物が、ときに体に悪影響を及ぼすことがあります。

VOCの引き起こす症状

 揮発性有機化合物(VOC)が引き起こす体調不良としては、「化学物質過敏症」と「内分泌かく乱」が代表格です。飼い主やペットに慢性気管支炎喘息といった症状が現れているにもかかわらず、明確な原因が見つからない場合は、ひょっとすると目に見えないVOCが悪さをしているのかもしれません。

化学物質過敏症

 「化学物質過敏症」(MCS)とは環境中に存在する微量な化学物質によって体調不良が引き起こされる現象のことです。明確な症状がないこと自体が特徴で、アレルギー的な側面と中毒的な側面を兼ね備えています。具体的な症状は以下。主に人間に現れるものですが、同じ哺乳類の属する猫に現れてもおかしくはありません。
化学物質過敏症の症状
  • 自律神経の症状発汗異常・手足の冷え・頭痛・疲れやすい
  • 精神の症状不眠・不安・うつ状態・不定愁訴
  • 気道の症状のどが痛い・のどが渇く
  • 消化器の症状下痢・便秘・吐き気
  • 眼科的の症状結膜への刺激・調節障害・視力障害
  • 内耳の症状めまい・ふらつき・耳鳴り
  • 運動器の症状筋力低下・筋肉痛・関節痛・振るえ
  • 循環器の症状動悸・不整脈・循環障害
  • 免疫の症状皮膚炎・喘息・自己免疫異常

内分泌かく乱

 「内分泌かく乱」とは、化学物質によって体の内分泌系が乱され、体調不良に陥ることです。この現象を引き起こす揮発性有機化合物は、ときに「環境ホルモン」と呼ばれることもあります。環境省は約70種類の化学物質を、内分泌かく乱作用が疑われる物質、すなわち環境ホルモンとしてリストアップしています。具体的には以下。
環境ホルモンの一部
  • プラスチック可塑剤フタル酸エステル類
  • プラスチック原料等スチレンダイマートリマー・ビスフェノールA
  • 有機リン系農薬マラチオン
  • ピレスロイド系農薬ペルメトリン・シペルメトリン・フェンバレレート・エスフェンバレレート
  • 有機塩素系農薬クロルデン・ノナクロル・ディルドリン・DDT・HCH(BHC)
  • 多環芳香族炭化水素ベンゾピレン

VOCの発生源

 揮発性有機化合物(VOC)は、建物だけでなく、建物の中にある日用品や家電製品からも発生する厄介なものです。具体的な発生源としては以下のようなものが挙げられます。家庭の中にあるほとんど全てのものが、VOCの発生源になりうることがお分かりいただけるでしょう。
VOCの発生源と主な材料
  • 建材パーティクルボード、化粧板、壁紙、断熱材、シール、プラスチック配管、塗料、防カビ剤、合成接着剤
  • 家具・調度品カーペット、タンス、カーテン
  • 暖房・厨房機器開放型石油ストーブ、ガスレンジ、システムキッチン
  • 空調機器空調システムのダクト内壁
  • 日用品化粧品、事務用品、接着剤、芳香剤、消臭剤、滅菌剤、貴金属、重金属
  • 電化製品・事務機器掃除機、コピー機、マーカー
  • 自動車関連燃料、排ガス、内装材

VOC対策

 揮発性有機化合物の発生源の中には、環境の中から取り除くことが難しいものもあります。しかし努力と工夫により、接触を減らすこと自体は可能です。具体的には以下。
揮発性有機化合物の低減法
  • 窓の開けてよく換気する
  • 壁の給気口をできるだけ開けておく
  • 室内ドアを開放して通気をよくする
  • 台所の換気扇で通気を促す
  • そもそも汚染源を持ちこまない
 最後に挙げた「そもそも汚染源を持ちこまない」を実現するためには、まず何が汚染源なのかを知っておく必要があるでしょう。厚生労働省は住宅室内の空気中における化学物質濃度の指針値を提示しています。体調不良を引き起こしやすい化学物質の名称、およびそれが引き起こす主な症状を併記しましたので、避けられるものは可能な限り避けたほうがよいと思われます。なお「1ppm」は百万分の一、「1ppb」は10億分の一という意味です。
室内の化学物質濃度・指針値
  • ホルムアルデヒド指針値=0.08ppm
    眼・鼻・喉への刺激と炎症、流涙、接触性皮膚炎、発ガン
  • アセトアルデヒド指針値=0.03ppm
    眼・鼻・喉への刺激、接触性皮膚炎、高濃度で麻酔作用、意識混濁、気管支炎、肺浮腫等
  • トルエン指針値=0.07ppm
    眼や気道への刺激、高濃度かつ長期の暴露で頭痛、疲労、脱力感等
  • キシレン指針値=0.2ppm
    トルエンと似た症状
  • パラジクロロベンゼン指針値=0.04ppm
    高濃度かつ長期の暴露で肝臓、腎臓、肺への障害、およびメトヘモグロビンの形成に影響を与える
  • エチルベンゼン指針値=0.88ppm
    眼・喉への刺激、めまい、意識の低下等
  • スチレン指針値=0.05ppm
    眼・鼻・喉への刺激、眠気、脱力感等
  • テトラデカン指針値=0.04ppm
    高濃度で麻酔作用、接触性皮膚炎
  • フタル酸ジブチル指針値=0.02ppm
    眼・皮膚・気道への刺激
  • フタル酸ジ-2-エチルヘキシル指針値=0.0076ppm
    眼・鼻・気道への刺激、接触性皮膚炎
  • フェノブカルブ指針値=0.0038ppm
    アセチルコリンエステラーゼ阻害、倦怠感、頭痛、めまい、吐き気、瞳孔の収縮等
  • クロルピリホス指針値=0.07ppb
    アセチルコリンエステラーゼ阻害、倦怠感、頭痛、めまい、胸部圧迫感、吐き気、瞳孔の収縮等
  • ダイアジノン指針値=0.02ppb
    クロルピリホスと似た症状
室内を汚染している化学物質 化学物質過敏症について 住宅室内空気中の化学物質濃度の指針値
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