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猫が喜ぶ部屋の作り方

 猫が喜ぶ部屋を作るには、まず猫にとって危険なものを部屋の中から一掃することが必要です。その後、猫の習性や本能を理解して環境エンリッチメントを整えていきます。それではレイアウトのポイントからインテリアの工夫まで具体例とともに見ていきましょう。

基本的な部屋の設定

 家の中に猫を迎え入れる際、猫専用の部屋を設けるパターンと、人間用の部屋を猫同居型にアレンジするパターンとがあります。以下は、専用型と共有型とに関わらず猫に喜んでもらうために重要となる基本的な部屋の設定方法です。

猫に必要な広さは?

 猫1頭につき、いったいどの程度の広さが必要なのでしょうか?イギリスの非営利団体で、健康と福祉の向上を目的としている「CIEH」のガイドラインでは、猫用ペットホテルにおける睡眠場所と運動する場所には、合わせて以下のような空間が必要だとしています。しかしあくまでも必要最低限の広さです。
猫に必要な最低限の広さ
  • 猫が1頭→2.55m²×高さ1m
  • 猫が2頭→3.73m²×高さ1m
 ストレスを感じて相手から逃げ出すときの限界距離のことを逃走距離といいますが、猫ではおよそ2m程度と考えられています。この数値から考えると、猫1頭につき最低でも2m×2mの4m²、できれば半径2mを確保して12m²程度をパーソナルスペースとして認めてあげたいところです。 猫1頭に必要な広さは最低4平米、できれば12平米  例えば5m×5mの室内に猫5頭を飼っていたとしましょう。25m²を5頭で分割すると5m²となり、理想である12m²の半分にも届きません。デリケートな猫の場合、こうした過密状態が続くとストレスが累積して、猫同士のケンカや粗相、ストレス性の特発性膀胱炎に陥ってしまう可能性があります。猫を飼う際は、家の間取りと面積を確認し、猫たちのパーソナルスペースがぶつかって過密状態にならないかどうかを事前によくシミュレーションすることが重要です。 猫の幸福とストレス

床のアレンジ

 床をどのようにアレンジするかにはたくさんの選択肢があります。結論から言うと、毛足の短いタイルカーペットを敷くのが人間にとって不都合が少なく、また猫が喜んでくれる確率が高いと考えられます。カーペットを用いた場合のメリットとデメリットは以下です。
カーペットを敷くと?
  • メリット人が歩く時の音を吸収してくれる | 床の温度が足の裏に直に伝わらない | 猫の足がスリップしにくい | 畳の場合爪とぎを予防してくれる | 交換が簡単 | 安い
  • デメリット人が裸足で暮らしているとだんだん臭くなっていく | 猫の嘔吐物が染み込んで掃除が大変 | コロコロの消費量がすごい | 掃除機による定期的な掃除が必要 | 毛足が長い場合爪が引っかかってしまう
 フローリングやタイルの場合、猫が走ったりジャンプしたりするときにスリップして足を痛めてしまうかもしれません。フローリングに滑り止めを塗るという選択肢もありますが、商品によっては全く効果がなく、またコーティングが剥がれてそれを飲み込んでしまう危険性もあります。
 ゴム床材を用いるという方法もありますが、家庭用製品が少なく、またカーペットの裏地にはそもそもゴムが用いられていますので、わざわざ選ぶ理由がそれほどありません。
 クッションフロアも拭き掃除がしやすくて魅力的ですが、猫が足を踏ん張ってジャンプすると爪が食い込んで表面がボロボロと剥がれてきます。またほとんどがシート式ですので部分的な取替も効きません。
 消去法で考えていくとやはりカーペットが残りますが、用いる場合はタイルカーペットを用いると部分的な取り替えができて楽です。
 また猫が爪とぎと勘違いしてしまわないよう、極端に毛足の長いカットパイルやループパイルは避けるようにします。長い間使っているとカーペットの隙間からほこりやゴミが落ち、裏地がひどく汚れることがありますので、定期的にカーペットを剥がして拭き掃除するようにします。猫専用の部屋がなく、人間と猫が同じ部屋を共有している場合、飼い主がよく使う空間ではフローリング、猫が走ったりジャンプしたりする空間ではカーペットという工夫もあります。

照明器具を選ぶ

 部屋全体を照らす天井照明器具を選ぶときは、光を発する「光源」とその光源を固定する「器具」に分けて考えます。猫が喜ぶかどうかは別として、「猫に対して悪影響が少ない」という観点で選ぶと、調光できるLEDのシーリングライトが最も無難であるように思われます。
光源のタイプ
  • 白熱電球寿命は1,000~2,000時間 | 本体価格が安い | 触ると熱くて火傷をする
  • 蛍光灯寿命は6,000~12,000時間 | 猫の目にはチカチカ点滅して見えている可能性あり
  • LED寿命は40,000時間 | 消費電力は白熱電球の1/6、蛍光灯の1/2程度 | 本体価格が高い
器具のタイプ
  • シーリング天井に直接取り付ける薄型の照明器具
  • ペンダント(吊り下げ)コードやチェーンで天井から吊るすタイプの照明器具 | 猫が飛びついて光源に触り火傷してしまう危険性あり
  • シャンデリア天井から吊り下げるタイプの多灯型の照明器具 | 十分高い場所にあれば猫が飛びつく危険性は薄いものの、大きな地震が来た時破損して部分~全体が落下する危険性あり
 光源を比較した場合、白熱電球は安い代わりに消費電力が大きく、電気代がかさみます。またかなり発熱しますので、うっかり触ると火傷してしまうでしょう。蛍光灯は照明の王道ですが、光が明滅していますので猫の目にはチカチカして見えている可能性を否定できません。またLEDに比べると寿命が半分以下です。
 一方、器具を比較した場合、ペンダントライトはかなり低い位置まで吊り下げますので猫がジャンプしたら届いてしまうでしょう。その結果、ライト自体が壊れたり光源を触った猫が火傷をしてしまうかもしれません。またシャンデリア(もしくはシーリングファン)はかなり高い位置に吊るされていますので、猫がジャンプしても届かないと考えられます。しかし大きな地震などが来て左右に揺れると、器具の一部が破損して落ちてきたり、器具を固定している金具が壊れてシャンデリアごと落ちてくる危険性もあります。
 こうしたさまざまなシナリオを考えていくと、最終的には調光できるLEDのシーリングライトが最も無難であるという結論に至ります。 調光式LEDライトを用いれば、猫の好きな薄暗い照明(dim light)も簡単に作り出せる  LEDは蛍光灯のようにチカチカ点滅しませんので、猫に余計なストレスをかけることがありません。また調光式のものを選べば、明け方と日没時の環境下で活発になる「薄明薄暮性」の猫が好きそうな薄暗い明るさ(dim light)を実現することもできるでしょう。さらに器具をシーリングタイプにすれば猫が飛びついて壊すこともありませんし、災害時に落ちてきても大怪我をすることがありません。本体価格は白熱電球や蛍光灯に比べてかなり高額ですが、消費電力が小さく寿命が4万時間と他を圧倒していますので、長い目で見れば元を取れると思います。
 なお部屋全体を照らす「全体照明」ではなく、部屋の特定部分を照らす「部分照明」に関しては上記した限りではありません。ただ照明が猫の上に落ちてくる落下事故や、猫がライトに触れてやけどする事故が起こらないよう、置き場所や光源を工夫する必要があります。

冷暖房器具を選ぶ

 夏は冷房、冬は暖房が必要になりますが、室内の温度調整は基本的にエアコンで行います。季節にかかわらず重要なのは、エアコンから吹き出す風が猫の寝床に直接当たらないよう工夫することです。電気代を節約するためエアコンの代わりに扇風機や電気ストーブを使う人もいますが、以下に述べるようなデメリットもあります。

夏場の室温調整

 夏場の暑い時、人間であればうちわや扇風機を使うこともあります。しかし猫には汗腺がありませんので、汗が蒸発するときの気化熱を体温調整に使えません。つまり、扇風機を当てたところで涼しいとは感じないのです。強いて言えば、「被毛の中の空気が入れ替わって何となく気持ちいい」程度でしょうか。人間と猫の体温調整方法は根本的に違い、最悪のケースでは熱中症で死亡してしまいますので、夏場はしっかりとエアコンで室温調整してあげる必要があります。温度は27~28℃、湿度は50%が設定の目安です。 猫の体温調整 猫が熱中症にかかった

冬場の室温調整

 冬場の寒い時、コタツや電気ストーブ、あるいは床暖房を使うことがあります。こうした電化製品は猫も大好きですが、たとえ低温でも長時間同じ場所を温め続けると「低温やけど」(hot water bottle rash)と呼ばれる状態に陥りますので要注意です。例えば以下は、腹痛を和らげるためあんかを長時間おなかに当て続けた人に発生した低温やけどの痕です。 低温でも長時間当て続けると皮膚が変化する  猫の体は被毛に覆われており、皮膚の様子を観察することができません。気持ちよさそうにしているからといって長時間コタツの中に放置したり、近距離で電気ストーブに当たらせてしまうと、人間の場合と同様、地肌がどす黒く変化してしまいます。こうした電化製品を使わなくてもよいよう、エアコンで温度調整してあげましょう。温度は25~26℃、湿度は50%が設定の目安です。
 なお、居住地域が北海道などの雪国で、エアコンがメインの暖房器具でない場合は、ストーブ廻りにバリケードを作って猫が絶対近づけないよう工夫します。さもないと低温ではなく高温やけどを負ってしまいます。 猫がやけどをした

部屋をキャットプルーフにする

 キャットプルーフとは、部屋の中にあるものに猫が近づいたり触れないように工夫をこらすことです。以下で代表的な例を解説します。
キャットプルーフいろいろ
  • コンセントコンセントに猫が爪を入れてしまわないよう、使用していないアウトレットにはキャップを挿して穴を塞いでしまいます。猫がキャップをいじって取ってしまわないよう、上からテープでとめておくとより安心です。こうしておくと、万が一猫がおしっこをかけてもショートしません。
  • 電気コード電化製品とコンセントを結ぶ電気コードは頑丈な絶縁体でカバーされています。しかし同じ場所をガジガジかじり続けていると、そのうちカバーが壊れて中のコードが露出してしまうかもしれません。コードを覆うプラスチック製のコードケース(ケーブルカバー)が市販されていますので、猫が異常に執着する場所にはこれを付けて補強しておきます。
  • 猫が壁紙で爪を研げないよう、専用のシートなどで覆ってしまいます。部屋の美観を損ねるという場合は、インテリアや家具を置くなどしてそもそも近寄れないようにするのも手です。猫の爪とぎのしつけ
  • 椅子やソファ椅子やソファで猫が爪を研げないよう、人が使っていないときや猫に留守番してもらうときだけ専用のシートを被せてしまいます。たいていは防水加工がしてありますので、万が一粗相をしても下にある家具を汚れから守ってくれます。猫の留守番のしつけ
  • カーテン猫はカーテン登りが得意ですが、降りるときに無理な体勢でジャンプして怪我をしてしまうかもしれません。ロールカーテンにすれば登れなくなりますが、カーテンよりも防音性が低く、また商品によって遮光性が大きく変わりますのでよく確認してから買うようにします。なおブラインドにしても登ってしまう猫がいますので、あまり意味がありません。
  • ゴミ箱フタがないタイプのゴミ箱だと猫が中に入ってしまったり、中のゴミを漁ったりしてしまいますので、基本的にはフタ付きのゴミ箱を用います。収納式のダストボックスを用いれば、ゴミ箱自体がインテリアの一部となり、また猫が高い場所に行くときの足場にもなってくれます。
  • 立入禁止エリアの設定キッチン、寝室、和室、お風呂場、ベランダなど、家の中には猫に入ってほしくない場所が幾つかあります。多くの場合は空間をアレンジすることで解決が可能ですので、具体例は以下のページをご参照ください。猫に立ち入り禁止をしつける
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猫が喜ぶ部屋作りの工夫

 猫の本能や習性を理解し、部屋の中を可能な限りストレスフリーな状態にすることを「環境エンリッチメント」と言います。以下では、基本的な設定が終わった部屋の中に、猫が喜ぶ環境エンリッチメントを導入する際の例をご紹介します。

 猫にとって窓から見える景色は人間にとっての映画のようなものです。「なくても生きていけるけれど、あったほうが断然よい」といったところでしょうか。窓際に見晴らし台を設け、ベッドを置いて猫がいつでも好きなときに外の世界を眺めることができるようにしてあげましょう。また適度な太陽光には紫外線による殺菌効果も期待できますので、窓際のリラックススペースは身体的な健康のためにも重要です。外の騒音がうるさい立地の場合は、防音性の高い二重サッシに代えるなどの工夫をしましょう。
 以下では窓に関する注意点を解説します。窓際には猫がリラックスできるベッドを設置する

猫をベランダに出さない

 窓を開放して猫をベランダに出すという行為は脱走や落下事故の原因です。窓の種類にかかわらず、外の空気を吸わせたいときは猫が出られない程度に細く開け、空気の入れ替えをしてあげます。ただし猫にも花粉症がありますので、猫の目から異常に涙が出ているときやくしゃみを連発しているような場合は控えます。近年は猫用のパティオである「キャティオ」(catio)が徐々に知名度を高めています。どうしても外の空気を吸わせたいという場合は、以下のページを参照し、設置できるかどうかを検討してみてください。Catioについて

網戸は破れる

 窓を開けても網戸があれば大丈夫だと思いがちですが、猫が爪を立ててガリガリやってしまうと、ほころび部分が大きくなって破れてしまうことがあります。また例えグラスファイバーの頑丈な網戸を使っていたとしても、繰り返し体重をかけることで網戸自体が外れてしまうかもしれません。空気の入れ替えをするため網戸付きの窓を開けるときは、飼い主が必ず猫に付き添うようにします。目を離す場合は、開ける幅を猫の頭の骨が物理的に通れな10cm未満にとどめておき、猫が勝手に開けられないようストッパーを噛ませておきます。

倒し窓(ボトムハング)は危険

 窓の中には「倒し窓」(ボトムハング)と呼ばれるタイプのものがあります。しかしこのタイプの窓は猫が挟まれやすく、場合によっては死亡することもありますので要注意です。 下部を蝶番にして上部を開閉する「ボトムハングウィンドウ」(倒し窓)  報告を行ったのは、オーストリアにある「Clinic for Small Animal Surgery」。2001~2012年の期間、クリニックを受診した猫のうち、倒し窓(ボトムハング)に挟まれたことがある猫をピックアップしました。その結果、合計98もの症例が認められたと言います。対麻痺(両足に麻痺があり動かない)や不全対麻痺(両足に麻痺はあるが少しは動く)を発症した71症例にまで絞った上で統計的な解析を行ったところ、全体の死亡率が35%に達することが明らかになったとも。
 「こんな細い隙間を通ることはないだろう」とタカをくくっていると、猫が挟まれて最悪のケースでは死亡してしまいます。倒し窓(ボトムハング)を開ける際は、猫がいないときを見計らうか、猫から絶対に目を離さない状況下で開ける必要があるでしょう。 猫が倒し窓(ボトムハング)に挟まれて死亡するケースは意外と多い

外猫はストレスの原因

 一戸建て住宅や賃貸住宅の1階では、窓の近くに外猫がやってくることがあります。しかし家の中で飼われている内猫にとって見ず知らずの外猫の存在はけっこうなストレスです。場合によってはストレス性の粗相(トイレの外でうんちやおしっこをしてしまう)につながることもありますので軽視してはいけません。
 解決法は、サッシの下半分を段ボールやシーツといった不透明な素材で覆い、外猫と内猫が対面できないよう工夫することです。 猫のトイレの失敗

見晴らし台

 部屋の中を見下ろせる「見晴らし台」はストレスを軽減して猫に喜んでもらうための必須アイテムです。部屋の複数箇所に、人間の目線よりも高い見晴らし台を用意してあげましょう。なお部屋の中の天井に近い空間には暖かい空気が集まりますので、人間の居住空間とは微妙に温度が違うかもしれません。「サーキュレーター」のようなアイテムを用いると室温が比較的均一化されますが、扇風機にしてもサーキュレーターにしても、音がうるさい商品が結構ありますので、購入時によく確かめておく必要があります。 猫は周囲を見下ろせる人間の目線よりも高い場所で安心する  見晴らし台の重要性は科学的にもある程度証明されています。調査を行ったのはイギリスや香港の大学などからなる共同チーム。2012年から2016年の期間、韓国のソウルにある一次診療施設を受診した猫4,014頭の中から、特発性膀胱炎(FIC)と診断された58頭と同疾患を抱えていない猫281頭を選別し、病気の発症因子となっている屋内環境を比較検討しました。その結果、部屋の中に「高い場所がない」猫においてはストレスが発症に大きく関わっているFICのリスクが4.64倍に高まることが明らかになったといいます。 猫の特発性膀胱炎(FIC)の原因になりやすい屋内環境は?

インテリアで工夫する

 見晴らし台を作るときに最も簡単な方法は、インテリアを転用するという方法です。転用できるものとしては、本棚、タンス、衣装ラックなどがあります。猫が登りやすいよう、周囲に椅子、収納ラック、カラーボックス、TV台、ローボードなど、階段代わりになるものを滑り止め付きで置いておきましょう。垂直方向の動きが運動不足解消にもつながります。 猫の見晴らし台を作るときの最も簡単な方法はインテリアの転用  カーテンレールやエアコンの上に登っている猫をたまに見かけますが、これは「見晴らし台がないじゃないか!」という猫からの抗議です。カーテンに爪を引っ掛けて登るのも危険ですので、安定感のあるちゃんとした見晴らし台を設けてあげましょう。

キャットツリーを置く

 猫用アイテムとして売られているキャットツリー(タワー)も見晴らし台として使えます。レイアウトはできるだけ壁際に置いた方がよいでしょう。
 フランス・ロイヤルカナンリサーチセンターのチームは完全に室内で飼育されている猫たちの活動パターンを24時間体制で2週間観察しました。生活空間を「室内エリア」(22.5m²)と「室外エリア」(7m²)とに分け、人間の入室を1日2時間強に制限した上で6頭の猫たちの自発的な活動パターンを記録した所、外に面した室外エリアにおかれたキャットツリーの使用時間が「4時間10分」だったのに対し、室内エリアの壁際に設けられた棚の使用時間が「11時間22分」だったといいます。キャットツリー(タワー)は壁際に設置したほうが使われやすいかも  こうした事実から、キャットツリーはどこに置いてもよいというわけではなく、壁際に近いほうが積極的に使われる可能性が高いことが伺えます。この知見は室内にツリーを設置するときにも応用できるでしょう。部屋の広さに余裕がある場合は、窓際と壁際の両方に1つずつレイアウトしてあげます。それほど広くない場合はまず壁際にレイアウトし、猫の使用頻度がイマイチと思えるようだったら窓際に移動してみます。 猫たちの自発的な行動パターンは活動3割の安静7割

DIYで見晴らし台を作る

 壁にL字金具などを固定し、その上に板を置いて手作り(DIY)のキャットウォークを作るという方法もあります。しかしこの方法は以下の理由によりあまりおすすめできません。
DIYキャットウォークのデメリット
  • 原状回復義務賃貸住宅の場合、壁にネジ穴を開けるなどもともとの状態に手を加えることになります。こうした行為は契約で禁止されていることもありますし、仮に禁止事項として明記されていなくても、部屋を明け渡す時に「原状回復義務」が発生し、修復費用を支払わなければなりません。
  • 強度が足りない住宅の壁の多くには石膏ボードが用いられています。しかしこのボードは強度が著しく弱く、固定のためのネジをぐりぐり回していると石膏が崩れてまったく使い物にならなくなります。複数のネジを打ち込んだり、補強アイテムを使えばそれなりの強度にはなりますが、猫が飛び乗ったときの「ドン!」という衝撃に耐えられる保証はありません。
  • 壊れた時に危険手作りの場合、猫が勢い良くキャットウォークに飛び乗った時、衝撃に耐えかねて崩れてしまうかもしれません。猫が落下すること自体が危険ですし、金具に用いていたネジが足や体の一部に刺さってしまう危険もあります。飼い主がいない留守番時にこうした事故が起こってしまうとなお悲惨です。
 上記したような理由から、DIYでキャットウォークや見晴らし台を作ることはあまり推奨されません。トライしてもよいのは、住居が一戸建てで好きに改造でき、なおかつ壁が石膏ボード以外の場合です。例えば壁の中には構造材と呼ばれる木材が組み込まれています。コンコンとノックして首尾よくこの木材部分を見つけることができれば、そこを金具の土台にすることができるでしょう。
 どうしてもキャットウォークを自作したいときは、角材の上下にはめ込んで突っ張り棒にしてしまうというアイテムも売られています。角材を何本か買ってきて壁際に並べるように設置し、そこを金具の土台にしてしまえば穴を開けずに強度のある足場ができるでしょう。猫が無理な着地をしないよう、周囲に安定性のある足場を設けてあげることも重要です。

隠れ場所

 人間や同居猫から完全に身を隠せる「隠れ場所」の存在も、部屋の中を見渡せる見晴らし台と同じくらい重要です。市販されている猫用ハウスやキャリーよりも、人間用のベッドの下、覆いをかぶせたPCラック、ちゃぶ台、小さめの机、ローテーブルといった小型インテリアの方がおすすめです。こうした頑丈なインテリアは適度な広さをもっていると同時に、地震などが来た時そのまま猫の身を守るシェルターになってくれます。
落下の心配がない低い場所に設置し、中にふかふかのベッドを入れ、猫が「完全に隠れている」と自覚できるよう出入口にも覆いをかけて安心させてあげましょう。 猫にとって隠れ場所はストレス軽減のための必須条件  猫にとっての隠れ場所の重要性は、世界各国で行われた非常に多くの調査によって証明されています。たとえばオランダ・ユトレヒト大学の研究チームは、野良猫として保護施設に収容された19頭の短毛種を「箱ありグループ」(10頭)と「箱なしグループ」(9頭)とにランダムで振り分け、2週間に及ぶ行動観察を行いました。その結果、猫のストレスの指標である「キャットストレススコア」(CSS)に関し、「箱ありグループ」の方が有意に低い値(ストレスが低い)を示したといいます。 猫にとっての「隠れ家」の重要性が再確認される 「箱なしグループ」の猫と「箱ありグループ」の猫におけるストレススコアの変遷グラフ(2週間)  またイギリスにあるハーパー・アダムズ大学の調査チームは不妊手術のために動物病院を受診した臨床上健康な猫30頭(5~7ヶ月齢 | オス16頭)を、「隠れ家があるケージ」と「隠れ家がないケージ」というグループに15頭ずつランダムで振り分け、身体を隠せる空間の有無が猫の短期的(20分間)なストレスにどのような影響を及ぼすかを検証しました。呼吸数、心拍数、体温、および体の位置や行動から猫のストレスの度合いを推し量る「キャットストレススコア」(CSS)を指標としてストレスの度合いを観察したところ、収容ケージにおける隠れ家の存在が猫の短期的なストレス軽減に有効かもしれないとの結論に至っています。 身体を隠せる空間(隠れ家)は猫の短期的なストレス軽減に有効 病院の収容ケージに隠れ箱を設けるだけで猫の短期ストレスが軽減する  上記したように、「隠れ場所」の存在が短期的にも長期的にも猫のストレス軽減に役立っています。部屋の中を見渡し、猫が完全に身を隠せる場所があるかどうかを今一度チェックしてみましょう。猫用トイレ、カーテンの隙間、スーパーの紙袋の中、洗濯機のドラムで寝ているような場合は明らかに隠れ家不足です。

棚・シェルフ

 猫にとって高い場所にある「見晴らし台」と身を隠せる「隠れ場所」の重要性は解説しましたが、その両方の特徴を併せ持つ「棚」(シェルフ)もまた重要なアイテムの1つです。
 棚の重要性に関する調査を行ったのは、ペットフードメーカー「ウォルサム」とイギリスのプリマス大学(→出典)。4つの部屋で飼育されている合計29頭の猫に、「2日間の予備フェーズ」、「4日間のテストフェーズ」、「2日間の対照フェーズ」を設け、空間の使い方を10分ごとに1日3時間(30分×6セット)観察しました。テストフェーズと残り2フェーズとの違いは、「部屋を仕切るように棚が備え付けてある」という点です。主な観察結果は以下
棚のもたらす変化
  • すべてのフェーズにおいて、朝食後(2.6%)よりも朝食前(22.7%)の方が敵対的行動が多かった
  • 朝食の時間以降における敵対的な行動は、テストフェーズ(1.1%)の方が予備フェーズ(2.9%)よりも顕著に少なかった
  • 夕食前における敵対的な行動は、テストフェーズ(4.8%)の方が対照フェーズ(15.1%)よりも顕著に少なかった
  • 親和的な行動に関してはフェーズ間で違いは見られなかった
  • 従来の棚と新しく備えつけた棚の使用比率は42:58
棚の存在は多頭飼育されている猫たちの自由空間を増やす  こうしたデータから調査班は、棚を設けるだけで猫の利用できる自由空間が増え、結果として敵対的行動が減少するとの結論に至りました。
 特に多頭飼育している家庭においては、棚やシェルフを設けるだけで猫たちの仲がよくなり喜ぶかもしれません。ただし部屋の中央にレイアウトしてしまうとジャマすぎて生活に支障が出てしまいます。使うときは部屋の隅っこか、人間の出入りが少ない猫専用の部屋で使うことになるでしょう。また地震が来て猫が下敷きにならないよう、大型のシェルフには突っ張り棒などで倒壊予防しておく必要があります。

トイレと食餌場

 トイレのレイアウトは、餌場や睡眠場所とはなるべく遠い場所を選ぶよう工夫します。理由は人間と同じで、自分の排泄物の臭いがする場所では食欲がわかないからです。設置数は「飼育頭数+1」が基本です。これは万が一トイレが汚れていた場合、予備のトイレがあればそちらを優先的に使ってくれるためです。もし予備がなかった場合、かなり高い確率で飼い主の衣服や寝具の上に粗相をしてしまいます。トイレに関する詳しいレイアウトや注意点に関しては、以下のページをご参照ください。 猫のトイレのしつけ 猫のトイレの失敗

爪とぎ

 猫にとって爪とぎはあくびやくしゃみと同様、生理的な行動でありやめさせることはできません。よって猫が喜ぶ理想的な爪とぎを用意してあげることが重要になります。詳しいレイアウトや注意点に関しては、以下のページをご参照ください。 猫の爪とぎのしつけ
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部屋から危険なものをなくす

 猫にとって必要なアイテムを部屋の中にそろえてあげることも重要ですが、猫にとって危険なものを部屋の中から取り除いてあげることも同じくらい重要です。

猫の誤飲誤食リスト

 以下は部屋の中でよく見かける危険物のリストです。周囲を見渡し、うっかりがないかどうか確認してみましょう。猫の毒になるものに関しては非常にたくさんありますので、猫にとって危険な毒物をご参照下さい。また部屋の中に好き勝手に観葉植物を置いていいというわけではありません。有毒植物に関しては猫に危険な有毒植物でご確認ください。
  • 煙草・灰皿誤飲・誤食に気をつけたいタバコ猫に限らず人間でもニコチンを口から摂取すると死に至ります。また副流煙による呼吸器系への悪影響を考えると、 煙草を吸わないに越したことはありませんので室内環境から一掃しましょう。
  • ひも状異物 誤飲・誤食に気をつけたいひも状の長い異物ひも状の長い物体は腸管内にひっかかりやすく、最悪のケースでは死を招いてしまうこともあります。胃より上でとどまっている場合は、催吐剤や内視鏡で取り出し、腸にまで落ちてしまった場合は、便として自然排出させるか開腹手術で強制除去を行います。おもちゃのひも、釣り糸、毛糸、輪ゴムなどは、必ず猫の手が届かない場所に保管しましょう。
  • アクセサリーや小物 誤飲・誤食に気をつけたいアクセサリーなどの小物室内に落としたアクセサリーや小物を猫が間違って飲み込まないように十分注意してください。 特に先のとがったピアスなどを飲み込んでしまうと大変です。
  • クリップなどの文房具 誤飲・誤食に気をつけたいクリップなどの小さな文房具類好奇心旺盛な子猫などは、床に落ちているものをとりあえず口に入れてしまうかもしれません。クリップなどの金属を飲み込んで消化器官を傷つけないよう、室内全体をまめに掃除しましょう。
  • 乾電池・ボタン電池 誤飲・誤食に気をつけたい乾電池やボタン電池猫が電池や磁石などを複数個飲み込んでしまうと、胃と腸がくっついてしまうという漫画のようなことが本当に起こりえますので室内環境から一掃しましょう。またコイン形のリチウム電池に関しては、国民生活センターからもボタン電池の誤飲に注意(PDF)という形で警告が出されています。電池が消化管内に停滞すると、そこから電流が漏出し、わずか1時間程度でも消化管に穴が開くとのこと。
  • タオルや靴下 誤飲・誤食に気をつけたいタオルなどの布製品猫が布を噛み千切って飲み込んでしまうと腸閉塞などの原因となります。いらなくなったタオルや靴下などを不用意におもちゃとして与えないで下さい。
  • 洗剤や薬品 誤飲・誤食に気をつけたい洗剤などの化学薬品猫が容器を噛み切って中身を飲み込むことがあります。最悪の場合は中毒症状を起こして死に至りますので、必ず室内の猫の目の届かないところに保管してください。
  • コード・ケーブル類 誤飲・誤食に気をつけたいコードなどの通電性のあるもの猫が絶縁体を噛み切って中の金属コードに触れてしまうと感電します。室内のケーブル類には噛み付き防止スプレーなどを塗って決して口に入れないよう子猫の頃からしつけておきましょう。
  • ティッシュペーパー 誤飲・誤食に気をつけたいティッシュなど繊維性のもの猫が興味本位で大量に飲み込んでしまうと、体内で消化されずに目詰まりを起こし、腸閉塞などの原因となります。室内の猫の手の届かないところに置いておきましょう。
  • 人間用のぬいぐるみ 誤飲・誤食に気をつけたいぬいぐるみなどいたずらの対象となるもの人間用のぬいぐるみは目の部分がボタンでできていたり、背中にファスナーなどがついている場合があります。 猫におもちゃとして与えると噛み千切って飲み込む危険性がありますので、与えるときは猫用のぬいぐるみにしてください。
  • 誤飲・誤食に気をつけたい種梅干やあんず、桃の種などは一見小さいですが、猫からするとかなり大きなものになります。食道に種子がつまり、呼吸困難やチアノーゼ(酸欠状態)になることもありますので、安易にテーブルの上に放置しないようにします。
  • 串・魚の骨 誤飲・誤食に気をつけたい焼き鳥の串焼き鳥の串に食べた後のいいにおいがついていたり、食べ残した肉片などがついていると、がっついた勢いで飲み込んでしまうときがあります。また魚の骨も同じ理由で飲み込まれることがありますので、食後はフタ付きのゴミ箱にしっかり入れるようにします。
  • 誤飲・誤食に気をつけたい針釣り針や縫い針なども危険です。釣り針は抜けないように「返し」がついていますので、食道などに刺さった場合は手術せざるをえないこともあります。また縫い針は胃にまで達してそこに穴を空け、肝臓、肺、心臓などの周辺臓器を傷つけることもあります。特に猫においては、針についた糸をおもちゃ代わりにしていて飲み込んでしまうというケースが多いようです。中には、飲み込んだ針がのどを突き破って脳に達したという症例もありますので、釣り道具や裁縫セットを放置しないよう十分注意しておく必要があります。

タバコは百害あって一利なし

猫の近くでタバコを吸わないことが基本  タバコの煙は直接的にも間接的にも猫の健康を損ねますので、猫の近くでタバコを吸わないことが鉄則です。タバコから出た煙(副流煙)を非喫煙者が吸い込むことを「二次喫煙」、そして布や皮膚に付着した煙の成分を摂取することを「三次喫煙」、両者を合わせて「受動喫煙」といいます。こうした受動喫煙が人間に対して健康被害をもたらすことは分かっていましたが、犬や猫といったペットに対しても、同様の被害をもたらしうることが分かってきました。具体例は以下。
受動喫煙による猫の健康被害
  • リンパ腫の発症率を高める猫は煙の成分がたまりやすい床の近くで暮らしているためどうしても二次喫煙のリスクが高まります。その結果、ガンの一種である悪性リンパ腫の発症率も高まってしまいます(→出典)。
  • 口腔がんの発症率を高める猫は頻繁に毛づくろいするため、被毛にタバコの煙成分が付着していると、こうした有害成分が口腔粘膜を刺激し、扁平上皮癌の発症率を高めてしまいます(→出典)。
 スコットランド・グラスゴー大学が行った調査によると、猫の被毛に含まれるニコチンの総量は、「飼い主が喫煙者」、「猫の近くでタバコを吸う」、「1日10本以上吸う」という因子によって増加することが確認されています。受動喫煙の被害は、喫煙者の家族だけでなくペットにまで及びますので、家庭内において禁煙を徹底することをお勧めします。 猫の被毛中のニコチン濃度は飼い主のタバコ喫煙量に応じて上昇する
電子タバコなら大丈夫? 電子タバコが安全というのは全くの誤解  従来の火を用いるタバコではなく、電子タバコなら大丈夫だろう、と思いがちですが、そういう訳にはいかないようです。イギリスでは2014年にニコチン入りのカートリッジを誤飲した子犬が死亡していますし、日本でも厚生労働省が発がん性物質を含む可能性があるとして調査に乗り出しています。液体であれ気体であれ、電子タバコと言えども安全とは言えないということです。

見えない化学物質に注意

 室内環境を整える際は、人とペット双方の健康を考え、揮発性有機化合物がなるべく少なくなるよう努めた方がよいでしょう。「揮発性有機化合物」(きはつせいゆうきかごうぶつ, VOC, Volatile Organic Compounds)とは、常温で蒸発し、気体となる有機化合物の総称です。目に見えない状態で室内を漂うこうした化合物が、ときに体に悪影響を及ぼすことがあります。

VOCの引き起こす症状

 揮発性有機化合物(VOC)が引き起こす体調不良としては、「化学物質過敏症」と「内分泌かく乱」が代表格です。飼い主やペットに慢性気管支炎喘息といった症状が現れているにもかかわらず、明確な原因が見つからない場合は、ひょっとすると目に見えないVOCが悪さをしているのかもしれません。

化学物質過敏症

 「化学物質過敏症」(MCS)とは環境中に存在する微量な化学物質によって体調不良が引き起こされる現象のことです。明確な症状がないこと自体が特徴で、アレルギー的な側面と中毒的な側面を兼ね備えています。具体的な症状は以下。主に人間に現れるものですが、同じ哺乳類の属する猫に現れてもおかしくはありません。
化学物質過敏症の症状
  • 自律神経の症状発汗異常・手足の冷え・頭痛・疲れやすい
  • 精神の症状不眠・不安・うつ状態・不定愁訴
  • 気道の症状のどが痛い・のどが渇く
  • 消化器の症状下痢・便秘・吐き気
  • 眼科的の症状結膜への刺激・調節障害・視力障害
  • 内耳の症状めまい・ふらつき・耳鳴り
  • 運動器の症状筋力低下・筋肉痛・関節痛・振るえ
  • 循環器の症状動悸・不整脈・循環障害
  • 免疫の症状皮膚炎・喘息・自己免疫異常

内分泌かく乱

 「内分泌かく乱」とは、化学物質によって体の内分泌系が乱され、体調不良に陥ることです。この現象を引き起こす揮発性有機化合物は、ときに「環境ホルモン」と呼ばれることもあります。環境省は約70種類の化学物質を、内分泌かく乱作用が疑われる物質、すなわち環境ホルモンとしてリストアップしています。具体的には以下。
環境ホルモンの一部
  • プラスチック可塑剤フタル酸エステル類
  • プラスチック原料等スチレンダイマートリマー・ビスフェノールA
  • 有機リン系農薬マラチオン
  • ピレスロイド系農薬ペルメトリン・シペルメトリン・フェンバレレート・エスフェンバレレート
  • 有機塩素系農薬クロルデン・ノナクロル・ディルドリン・DDT・HCH(BHC)
  • 多環芳香族炭化水素ベンゾピレン

VOCの発生源

 揮発性有機化合物(VOC)は、建物だけでなく、建物の中にある日用品や家電製品からも発生する厄介なものです。具体的な発生源としては以下のようなものが挙げられます。家庭の中にあるほとんど全てのものが、VOCの発生源になりうることがお分かりいただけるでしょう。
VOCの発生源と主な材料
  • 建材パーティクルボード、化粧板、壁紙、断熱材、シール、プラスチック配管、塗料、防カビ剤、合成接着剤
  • 家具・調度品カーペット、タンス、カーテン
  • 暖房・厨房機器開放型石油ストーブ、ガスレンジ、システムキッチン
  • 空調機器空調システムのダクト内壁
  • 日用品化粧品、事務用品、接着剤、芳香剤、消臭剤、滅菌剤、貴金属、重金属
  • 電化製品・事務機器掃除機、コピー機、マーカー
  • 自動車関連燃料、排ガス、内装材

VOC対策

 揮発性有機化合物の発生源の中には、環境の中から取り除くことが難しいものもあります。しかし努力と工夫により、接触を減らすこと自体は可能です。具体的には以下。
揮発性有機化合物の低減法
  • 窓の開けてよく換気する
  • 壁の給気口をできるだけ開けておく
  • 室内ドアを開放して通気をよくする
  • 台所の換気扇で通気を促す
  • そもそも汚染源を持ちこまない
 最後に挙げた「そもそも汚染源を持ちこまない」を実現するためには、まず何が汚染源なのかを知っておく必要があるでしょう。厚生労働省は住宅室内の空気中における化学物質濃度の指針値を提示しています。体調不良を引き起こしやすい化学物質の名称、およびそれが引き起こす主な症状を併記しましたので、避けられるものは可能な限り避けたほうがよいと思われます。なお「1ppm」は百万分の一、「1ppb」は10億分の一という意味です。
室内の化学物質濃度・指針値
  • ホルムアルデヒド指針値=0.08ppm
    眼・鼻・喉への刺激と炎症、流涙、接触性皮膚炎、発ガン
  • アセトアルデヒド指針値=0.03ppm
    眼・鼻・喉への刺激、接触性皮膚炎、高濃度で麻酔作用、意識混濁、気管支炎、肺浮腫等
  • トルエン指針値=0.07ppm
    眼や気道への刺激、高濃度かつ長期の暴露で頭痛、疲労、脱力感等
  • キシレン指針値=0.2ppm
    トルエンと似た症状
  • パラジクロロベンゼン指針値=0.04ppm
    高濃度かつ長期の暴露で肝臓、腎臓、肺への障害、およびメトヘモグロビンの形成に影響を与える
  • エチルベンゼン指針値=0.88ppm
    眼・喉への刺激、めまい、意識の低下等
  • スチレン指針値=0.05ppm
    眼・鼻・喉への刺激、眠気、脱力感等
  • テトラデカン指針値=0.04ppm
    高濃度で麻酔作用、接触性皮膚炎
  • フタル酸ジブチル指針値=0.02ppm
    眼・皮膚・気道への刺激
  • フタル酸ジ-2-エチルヘキシル指針値=0.0076ppm
    眼・鼻・気道への刺激、接触性皮膚炎
  • フェノブカルブ指針値=0.0038ppm
    アセチルコリンエステラーゼ阻害、倦怠感、頭痛、めまい、吐き気、瞳孔の収縮等
  • クロルピリホス指針値=0.07ppb
    アセチルコリンエステラーゼ阻害、倦怠感、頭痛、めまい、胸部圧迫感、吐き気、瞳孔の収縮等
  • ダイアジノン指針値=0.02ppb
    クロルピリホスと似た症状
室内を汚染している化学物質 化学物質過敏症について 住宅室内空気中の化学物質濃度の指針値
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