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猫に必要な栄養素

 猫に必要な栄養は、私たち人間と同じ「六大栄養素」(ろくだいえいようそ)です。六大栄養素は、炭水化物(糖質)・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラル、および水から構成されます。

猫と炭水化物

 「炭水化物」(たんすいかぶつ, 糖質とも)は主として脳や筋肉に取り込まれてエネルギー源として活用されます。余った炭水化物(糖質)はインシュリンというホルモンの働きで脂肪細胞や筋肉細胞に蓄えられ、逆に空腹時は体内のタンパク質(筋肉)や脂質(脂肪)が分解されて糖質(グルコース)が合成されます。炭水化物(糖質)のカロリーは、1グラム/4キロカロリーで、主な含有食品は砂糖・米・でんぷん・とうもろこし・イモ類などです。猫において炭水化物の明確な適正摂取量は定められていませんが、フード中(乾燥重量)に含まれる炭水化物が35%までなら十分消化できると考えられています。しかし含量が40%を超えると、高グルコース血症(高血糖)、尿中へのグルコースの排出(尿糖)、下痢、鼓腸、おなら等が発生しやすくなるという報告もあります。

猫にとっての炭水化物

猫にとってねずみとは、適度に炭水化物を含んだ完全栄養食。  猫にとって炭水化物(糖質)はさほど重要な栄養素ではありません。猫は長い進化の歴史の中で、主としてネズミなどのげっ歯類をえさとしてきましたが、そうしたげっ歯類の体内には、草や穀物や木の実などの炭水化物が含まれていることもあります。例えば猫の好物として名高いネズミの体組成を調べた調査によると、炭水化物が1.2%、タンパク質が55%、脂質が38.1%だったといいます。このようにわずかですが、猫の獲物の中には炭水化物が含まれているのです。もし体に炭水化物の消化吸収能力が無いと、こうした獲物の体内に残っている炭水化物が体内に入るたびに嘔吐や下痢を繰り返してしまうでしょう。
 ですから、雑食である犬や人間に比べると劣りますが、猫にもある程度の消化吸収能力はあるわけです。ただし、猫の感覚からすると「メインディッシュである肉を食べるついでに、炭水化物を消化吸収する」といった感じで、さほど重視はしていません。

炭水化物の種類

 炭水化物は単糖・二糖・多糖に分類されます。それぞれに属する代表的な物質は以下です。

単糖(たんとう)

 「単糖」とは、それ以上加水分解されない糖類のことです。種類としては、ブドウ糖とも呼ばれ、体内でエネルギー源になる「グルコース」、果糖とも呼ばれ、果物に多く含まれる「フルクトース」、その他グルコースほど甘くなく、またそれほど水にもとけない「ガラクトース」などがあります。
 単糖の中でも特にグルコースは、摂取した脂質やタンパク質などからも体内で合成され、脳や筋肉のエネルギー源になる重要な栄養素です。血中の糖濃度は人間と同様、主として脳内の視床下部(ししょうかぶ)という部分で自動調整されていますが、濃度が低いときはグルカゴンというホルモンの作用で体内の脂肪や筋肉を分解してグルコースを血中に補給し、逆に高すぎるときはインスリンというホルモンの作用で血中から脂肪細胞に中性脂肪(いわゆる肥満の原因である”ぜい肉”)という形で貯蔵されます。なお、血中のグルコース濃度が高い状態を「高血糖」、逆に低い状態を低血糖と呼びます。
 猫の体内における糖の代謝能力には限界があります。例えばグルコースの代謝に関わる「グルコキナーゼ」という酵素の働きは雑食動物に比べて極めて弱く、またフルクトースの代謝に関わる「フルクトキナーゼ」という酵素に至っては、そもそも持っていません。こうした糖代謝能力の低さが、猫が時に「完全肉食動物」と呼ばれる所以(ゆえん)です。

二糖(にとう)

 「二糖」とは、糖類の最小構成単位である単糖2分子が脱水縮合し、グリコシド結合を形成して1分子となった糖のことです。種類としては、ショ糖とも呼ばれ、砂糖などに含まれる「スクロース」(グルコース+フルクトース)、乳糖(にゅうとう)とも呼ばれ、牛乳などに含まれる「ラクトース」(グルコース+ガラクトース)、麦芽糖(ばくがとう)とも呼ばれ麦芽などに含まれる「マルトース」(グルコース+グルコース)などがあります。
猫は二糖類の一種であるショ糖(砂糖)を感じるセンサーを持っていない  猫の舌には甘みを感じるセンサーが存在しないといわれています。これは甘みを感じさせる代表格である砂糖(栄養学的にはショ糖=スクロース)が猫の体にとって、さほど重要ではないことの顕著な証拠といえるでしょう。また牛乳を飲むと下痢を起こしてしまう猫もいますが、これは牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する「ラクターゼ」と言う消化酵素が不足しているためです。生まれてすぐのころは母乳を分解するためラクターゼの活性は高まっていますが、離乳後は急激に減少します。成猫になるとラクトースの分解能力はほぼ失われ、体重1キロあたり1.3gまでなら何とか分解できるものの、それ以上になると腸内微生物の発酵を受けて下痢や鼓腸(おなかが張る)の原因となってしまいます。

多糖(たとう)

 「多糖」とは、単糖分子がグリコシド結合によって多数重合した糖のことです。種類としては植物のグルコース貯蔵形態で、じゃがいもの根などに貯蔵される「デンプン」、動物のグルコース体内貯蔵形態で、筋グリコーゲンや肝グリコーゲンなどの形で貯蔵される「グリコーゲン」、動物が体内で消化できない多糖類の総称で、こんにゃくの「グルコマンナン」、こんぶの「アルギン酸ナトリウム」などに代表される「食物繊維」などが挙げられます。
分解酵素アミラーゼをほとんど含まない猫にとって、デンプンの分解は一苦労。  猫の唾液には、デンプンを分解する「アミラーゼ」という酵素が含まれていません。ですから人間のように、お米を噛んでいるうちに分解されて甘みが出てくるということはないでしょう。また体内におけるアミラーゼ活性も低く、犬のおよそ1/3程度しかないと推測されています。ですからじゃがいもや米など、デンプンを多く含む食事を与えたとしても、体内で消化分解されず、下痢を起こしてしまう可能性があるのです。猫が市販ペットフードに含まれるデンプンをすぐに消化できるのは、ドライペットフード生産で使われる「エクストルード加工処理」(押し出し成型)がデンプンをゼラチン化し、穀物中のデンプンの消化性を高めているためです。
 「繊維」(せんい, fiber)とは、グルコースがα結合ではなくβ結合した重合体の総称です。具体的にはセルロース、ペクチン、ヘミセルロースなどがあります。繊維がもつ最大の特徴は、猫の体内の酵素ではβ結合を切断できず、腸内にいる微生物の酵素だけが切断できるという点です。微生物によって分解された繊維は、さまざまな経路を経てピルビン酸という物質に代謝されます。そしてこのピルビン酸は短鎖脂肪酸に転換され、宿主である動物の腸管の健康を維持するための基となります。つまり腸内微生物は、動物の体内に住まわせてもらっている代わりに、腸の動きを活発にするという「家賃」を支払っているわけです。
繊維の働き
  • 消化管内の内容物の通過時間を調整する
  • 血中グルコースレベルを調節する
  • 腸管内のpHを減少させ、嫌気性の微生物の割合を増加させる
  • 微生物の短鎖脂肪酸、ビタミンK、ビオチン、二酸化炭素、メタンなどを産生を促す
  • 短鎖脂肪酸は結腸においてイオンや水分の吸収を促進する
  • 大腸粘膜の健康を維持する
 繊維の整腸作用を利用した毛球症予防のフードの中には、この食物繊維が7%以上含まれているものもあります。ただし、たくさん摂りすぎると下痢やおならの原因になりますので、「適量」が重要です。なお、微生物が生み出す短鎖脂肪酸(酪酸・プロピオン酸・酢酸など)は馬や牛といった草食動物にとってはエネルギーの75%を占めています。一方犬や猫にとってはエネルギー全体のわずか5%以下しか占めていません。この違いは、雑食である犬や肉食である猫の腸が短く、また食物の通過時間が速いため、微生物が繊維を分解するだけの十分な時間がないためです。腸の長さに関し、猫は体長の4倍、犬は6倍、ウサギは10倍、そして馬や牛では20倍程度と言われています。
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猫とタンパク質

 「タンパク質」は主として筋肉やホルモンなど、アミノ酸を必要とする体内組織に変わります。炭水化物(糖質)、脂質からタンパク質は合成されませんので、外から食事として摂取する必要があります。タンパク質のカロリーは1グラム/4キロカロリーで、主な含有食品は肉の赤身部分・魚・大豆製品・卵白・牛乳・チーズなどです。最低摂取量に関しては、 NRC(全米研究評議会)が「理想体重1kgにつき3g以上」、AAHA(アメリカ動物病院協会)が「理想体重1kgにつき5g以上」と推奨しており、やや幅があるようです。

猫の必須アミノ酸

 タンパク質は体内で「アミノ酸」と呼ばれる22種類の物質に分解されます。このアミノ酸の内、体内で合成できず食事として摂取する必要のあるものが「必須アミノ酸」(ひっすあみのさん)で、成人(成猫)では体内で合成できるものの、成長の早い段階では体内での合成量が十分でなく、不足しやすいアミノ酸が「準必須アミノ酸」(じゅんひっすあみのさん)です。猫には11種類の「必須アミノ酸」と2種類の「準必須アミノ酸」があることがわかっています。必須アミノ酸に関しては、AAFCO(米国飼料検査官協会)が最低摂取量を公開していますので以下のページも合わせてご覧ください(下段の4項目を除いた全て)。 猫の必須アミノ酸
猫の必須アミノ酸
  • バリンカッテージチーズ、魚、鶏肉、牛肉、ラッカセイ、ゴマ、レンズマメなどに多く含まれる
  • ロイシン牛乳、ヨーグルト、海苔、和牛、鶏卵、食パン、大豆
  • イソロイシン俗に「筋肉をつくる」「疲労を抑える」といわれており、運動中の筋肉消耗の低減に一部で有効性が示唆されている。
  • リシンリシンが欠乏するとビタミンB群の1つ、ナイアシンの不足を招く。これによりペラグラ(ニコチン酸欠乏症候群)にかかることがある。クレソン、ホウレンソウなどに多く含まれる
  • トレオニンカッテージチーズ、鶏肉、魚、肉、レンズマメ
  • メチオニン血液中のコレステロール値を下げ、活性酸素を取り除く作用がある。ホウレンソウ、グリーンピース、ニンニク、ある種のチーズ、トウモロコシ、ピスタチオ、カシューナッツ、インゲンマメ、豆腐、テンペ、肉類では鶏肉、牛肉、魚肉など大部分のものに含まれる。
  • ヒスチジンヒスタミンなどの原料で、脂肪細胞からの脂肪の分解を促進 する。マグロなどに多く含まれる
  • フェニルアラニン脳内で神経伝達物質に変換される重要な必須アミノ酸
  • トリプトファン肉、魚、豆、種子、ナッツ、豆乳や乳製品などに豊富に含まれる
  • タウリンカルボキシル基を持たないため厳密な意味ではアミノ酸ではないが、便宜上必須アミノ酸に分類される。消化作用を助けるほか、神経伝達物質としても作用する
  • アルギニンアンモニアの生体内解毒を助け、免疫反応の活性化、細胞増殖促進し、コラーゲン生成促進などにより、創傷や褥瘡の治癒を促す。肉類、ナッツ、大豆、玄米、レーズン、エビ、牛乳などに多く含まれる
 猫の必須アミノ酸のうち、バリン~トリプトファンまでの9種類は人間にとっての必須アミノ酸でもあります。いわゆる「ネコマンマ」と呼ばれる、ご飯に味噌汁をかけてかつをぶしをかけたような食事では、上記した必須アミノ酸を摂取することは到底不可能です。アミノ酸の中でもアルギニンとタウリンが欠乏すると、深刻な体調不良に陥る危険性があります。
 「タウリン」が不足すると進行性網膜萎縮という病気にかかったり、心臓の機能が低下したり、繁殖能力や成長力が阻害されたりします。「アルギニン」が不足すると尿を正常にろ過することが出来なくなって、アンモニア中毒にかかったり、脂肪肝になる危険性が高まります。
猫の準必須アミノ酸
  • システイン赤唐辛子、ニンニク、タマネギ、ブロッコリー、芽キャベツ、オート麦、小麦胚芽に含まれる
  • チロシン動物性タンパク質に広く含まれる
 システインは本来、体内においてメチオニンから作り出されますが、幼齢期においては生成能力が足りないため、外から補う必要があります。チロシンは神経伝達物質の前駆物質であり、血漿中のノルアドレナリンやドパミンのレベルを増加させる作用を持ちます。
猫のタンパク質要求量  犬のタンパク質要求量が、体重1kg当たり1.6~2.5gであるのに対し、猫のそれは3~5gと高めです。この理由は、体内におけるタンパク質不足とそれに伴う各種の体調不良を予防するためです。猫の肝臓は、炭水化物を代謝する各種酵素の活性が低いかわりに、タンパク質(アミノ酸)から糖(グルコース)を新生する「トランスアミナーゼ」や「デアミナーゼ」といった酵素の活性が高く維持されています。この酵素活性は食事の質にかかわらずほぼ一定であるため、タンパク質の摂取量が少ないにもかかわらず、積極的にタンパク質が分解されるという状況が容易に発生します。つまり、体内でタンパク質不足が起こりやすいのです。こうした体質の違いにより、猫のタンパク質推奨値は犬よりも高く設定されています。
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猫と脂質

 「脂質」は主として脳や筋肉に取り込まれてエネルギー源として活用されます。食事に含まれる脂質は、トリアシルグリセロール、リン脂質、コレステロール、コレステロールエステルなどです。余った脂質はインシュリンというホルモンの働きで脂肪細胞や筋肉細胞に蓄えられ、逆に空腹時は体内のタンパク質(筋肉)や脂質(脂肪)が分解され、糖質(グルコース)が合成されて利用されます。脂肪が蓄積する過程が肥満、逆に意識的に脂肪を減らす過程がダイエットです。脂質のカロリーは1グラム/9キロカロリーで、主な含有食品は肉の脂身部分・バター・生クリーム・マヨネーズ・植物油・卵黄などです。
 猫の一日に必要な脂質の量に厳密な決まりはありませんが、カロリーが「9kcal/g」と高いので(炭水化物とタンパク質は、共に4kcal/g)、他の栄養素とのバランスを考えた上で摂取量を決めることが望まれます。

脂質の種類

 脂質は、栄養学上おおまかに「単純脂質」・「複合脂質」・「誘導脂質」の3種類に分けられますが、このうち食事として摂取する機会が多いのは、単純脂質に属するトリアシルグリセロール、つまり「中性脂肪」でしょう(平たく言うと肉の”脂身”のことです)。中性脂肪は体内で分解され、脂肪酸(しぼうさん)とグリセリンに分かれます。さらに脂肪酸には、「飽和脂肪酸」(ほうわしぼうさん)と「不飽和脂肪酸」(ふほうわしぼうさん)があり、体内において多くの生理作用を示します。
脂肪酸の種類
  • 飽和脂肪酸 飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)は畜産動物の肉に多く含まれ、常温で固体を維持します。病気との関連が示されいるため、人間でも過剰な摂取は推奨されていません。
  • 不飽和脂肪酸 青魚ばかり食べていると、不飽和脂肪酸の過剰摂取で、「黄色脂肪症(イエローファット)」を発症することも。不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)は、植物や青魚の中に多く含まれ、常温でも液体のままです。1930年代の動物実験により、不飽和脂肪酸を欠くことで、皮膚障害、不妊などが引き起こされることが分かっています。ただし、過剰な摂取は逆に健康を損ないます。不飽和脂肪酸はアジ、サバ、カツオなどの青魚に大量に含まれているので、これらの魚ばかりたべている猫では、腹部などの皮下脂肪が酸化・変性して炎症を起こし、 黄色脂肪症(イエローファット)という病気になることもあります。魚を多く摂取する際は、量に気をつけると同時に、抗酸化作用のあるビタミンEを併せて摂ることが重要です。

猫の必須脂肪酸

 体内で他の脂肪酸から合成できないために、食事として摂取する必要がある脂肪酸を「必須脂肪酸」(ひっすしぼうさん)と呼びます。必須脂肪酸に関しては、AAFCO(米国飼料検査官協会)が最低摂取量を公開しています。基本的な作用と共にまとめましたので以下のページも合わせてご覧ください(下段の4項目)。 猫の必須脂肪酸
猫の必須脂肪酸
  • リノール酸 エネルギーの利用と貯蔵、アラキドン酸の前駆物質。人や犬は体内でリノール酸からアラキドン酸をある程度合成することができますが、猫は合成することができないため、食べ物から摂る必要があります。
  • αリノレン酸 エネルギーの利用と貯蔵、エイコサペンタエン酸の前駆物質
  • アラキドン酸 エネルギーの利用と貯蔵、エイコサペンタエン酸の前駆物質。アラキドン酸は植物にはほとんど含まれないため、必然的に動物の肉を食べる必要があり、これは猫が肉食である理由の一因と言えるでしょう。主に肉、卵、魚、母乳などに多く含まれています。
  • EPAとDHA EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)共にエネルギーの利用と貯蔵、網膜や神経組織の発達、膜の流動性調節
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猫とビタミン

 「ビタミン」とは、体の調子を整える作用を持った、欠くことのできない化学物質のことです。ビタミンの種類は、脂によく溶ける性質を持った「脂溶性ビタミン」と、水によく解ける性質を持った「水溶性ビタミン」とに大別されます。なおビタミンに関しては、AAFCO(米国飼料検査官協会)が最低摂取量を公開しています。基本的な作用や「欠乏症」、「過剰症」と共にまとめましたので以下のページも合わせてご覧ください。 猫に必要なビタミン一覧
脂溶性ビタミン
  • ビタミンA皮膚や粘膜を丈夫に保ち、感染予防に効果がある。猫はβカロテンをビタミンAに変換する腸内ジオキシゲナーゼという酵素を持っていないため不足しがちになります。
  • ビタミンD腸管からのカルシウムの吸収を盛んにする。猫では、皮膚内での光合成によりビタミンDを合成する7-デヒドロコレステロールという物質が少ないため、不足しがちになります。
  • ビタミンE血管壁を丈夫に保ち、動脈硬化を予防する
水溶性ビタミン
  • ビタミンB1糖質(炭水化物)をエネルギーに変える
  • ビタミンB2体毛、皮膚、脂質の代謝を促進する。抗酸化作用
  • ビタミンB6歯、皮膚の代謝を促進し胃酸の分泌を活性化する
  • ビタミンB12ヘモグロビン、アミノ酸の生成を促進する
  • ナイアシン(ニコチン酸)血管拡張作用と性ホルモンの合成
  • 葉酸(ビタミンM)DNAと赤血球の合成
  • パントテン酸副腎皮質ホルモンの合成
  • ビタミンCコラーゲンを生成し、カルシウムの代謝を促す
 最後に挙げたビタミンCに関し、猫は体内で合成できるため、実は外部から摂取する必要がありません。逆にビタミンCが必要なのは、霊長類とモルモットと数種の魚類だけですので、私たち人間の方がマイナーの部類に入ります。ちなみに人間がグルコースからビタミンCを生成することができないのは、「L-グロノラクトンオキシダーゼ」と呼ばれる酵素が不足しているためです。
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猫とミネラル

 「ミネラル」とは生体にとって欠かせない微量元素のことで、日本語では「無機質」(むきしつ)と呼ばれます。多すぎても少なすぎても体調不良に陥るため、摂取には慎重を要する栄養素です。なおミネラルに関しては、AAFCO(米国飼料検査官協会)が最低摂取量を公開しています。基本的な作用や「欠乏症」、「過剰症」と共にまとめましたので以下のページも合わせてご覧ください。 猫に必要なミネラル一覧
ミネラル(無機質)一覧
  • 鉄(Fe)ヘモグロビン中で酸素の運搬に役立つ
  • カルシウム(Ca)骨に沈着して骨格を形成する。
  • マグネシウム(Mg)カルシウムと共に筋肉の収縮を助ける。
  • リン(P)カルシウムと共に骨や歯を丈夫にする。
  • 亜鉛(Zn)酵素を活性化し、細胞分裂を正常に行わせる。
  • ナトリウム(Na)カリウムと共に血管の機能を正常に保つ。
  • カリウム(K)ナトリウムと共に血管の機能を正常に保つ。
  • ヨウ素(I)甲状腺ホルモンの成分となる。
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猫と水

 猫の身体は、胎児期~未成熟期には80~90%、成猫になると60~70%が水分で占められています。一般的に、猫が1日に必要とする水の量は、「1.2×(30×体重kg)ml」程度です。つまり、体重4kgなら144ml、5kgなら180ml、8kgなら288ml程度ということになります。ただしこの量はあくまでも目安で、運動量、病気の有無、季節、妊娠や出産、ウェットフードかドライフードかなどによって容易に変動します。

水の摂取不足

 猫の祖先であるリビアヤマネコは砂漠出身のため、あまり頻繁に水を飲む機会がありませんでした。その結果獲得したのが、「のどが渇いても我慢する能力」や、「おしっこを濃縮する能力」です。しかしこの特殊能力は、猫の健康に悪影響を及ぼす危険因子としての側面も持っています。
水を飲まない弊害
  • 脱水症状 気温が高い夏場、あまりにも飲水量が少ないと脱水症状に陥ることがあります。体水分の5%損失で「体調不良」、10%損失で「意識障害」、15~20%損失で「生命の危機」というのが一般的な目安です。
  • 泌尿器系の病気 日常的な飲水量が少ないと尿が濃くなり、さまざまな泌尿器系疾患を発症することがあります。一例を挙げると、下部尿路症候群膀胱結石腎結石特発性膀胱炎などです。
 猫がこうした疾患にかからないよう、飼い主は猫がなるべくたくさん水を飲むよう促してあげる必要があります。ただし、一日に飲む水の量が体重1kg/45mlを超えると、逆に「多飲」という病的な状態が疑われます。具体的には腎機能の低下や糖尿病などが考えられますので、あまりにも大量に飲む場合は獣医さんに相談しましょう。 猫の泌尿器の病気

猫に水を飲ませるコツ

 泌尿器系の疾患を予防するため、猫には毎日適切な量の水を飲ませる必要があります。以下は、猫に効果的に水を飲ませる際のヒントです。
猫に水を飲ませる方法
  • 水飲み場を増やす 水を飲む場所は1ヶ所だけではなく、部屋の中に複数ヶ所設けた方がベターです。「あ、水飲むの忘れてた!」という具合に、まるで思い出したかのように飲んでくれるかもしれません。また多頭飼いの家庭においては、他の猫との資源の共有を避けるという意味もあります。
  • 常に新鮮な水を 飲み水は常に新鮮なものを補充するようにします。うっすらと水面に埃が浮かんでいたり、微妙な匂いの変化があると、猫はそっぽを向いてしまうことがあります。
  • 容器は清潔に水飲み容器の底に発生するピンクのシミ 水飲み容器を長時間放置しておくと、底にピンク色のシミのようなものが発生することがあります。これは「セラチア」(Serratia marcescens)と呼ばれる細菌、もしくは「ロドトルラ」(Rhodotorula)と呼ばれる酵母の一種だと考えられます。害はほとんどありませんが、ひょっとすると鼻が敏感な猫にとっては、忌避の原因になってしまうかもしれません。水は最低でも12時間で1回取り替え、容器の底をこまめに洗ってぬめりが残らないようにした方がよいでしょう。
  • 噴水式を使ってみる まるで噴水のようにちょろちょろと水を吹き出してくれる市販品があります。水の動きに興味を引かれていつもよりたくさん飲んでくれるかもしれません。
  • マタタビを混ぜてみる 水に混ぜるスタイルのマタタビフレーバーが市販されています。マタタビに反応示す猫の場合は効果があるかもしれません。
  • 好物を水で薄める 大好きなドライフードを水でふやかしたり、ペースト状のおやつに大さじ1~2杯の水を加えて飲水量を増やすという方法があります。猫が嫌がらないようでしたら試してみる価値はあるでしょう。
  • 適度な運動をする 適度な運動をさせることで呼吸が荒くなると、あえぎ呼吸(パンティング)を通して体液が失われます。それを補うためいつもより必死に水を飲んでくれる可能性があります。
  • カルキを避ける 猫は「カルキ」を含む水道水を敬遠することがあります。カルキ臭のないミネラルウォーター(下記参照)か、一度沸騰させてカルキ臭を飛ばして冷ました水の方が飲んでくれるかもしれません。水が気に入らないと便所や風呂場の残り湯を飲むこともありますので、落下事故などへの注意が必要です。
 「猫にミネラルウォーターを与えると結石ができる」といううわさをよく耳にします。これは真実なのでしょうか?
ミネラルウォーターが猫の結石の原因であるというのは都市伝説。  まず猫の結石の原因としてはマグネシウムの過剰摂取がかかわっていることは間違いないようです。そしてミネラルウォーターにマグネシウムが含まれていることもまた事実です。これだけ聞くと確かに「ミネラルウォーターは猫にとって有害」と思えます。しかし実は水道水を含め、ほとんどの水には多かれ少なかれマグネシウムが含まれているため、極論すれば「猫に水を飲ませてはいけない」という話になってしまいます。
 要は、マグネシウムを過剰に含んだ水を飲ませてはいけないということであり、ミネラルウォーター=有害という単純な図式ではないということです。水に含まれるカルシウム塩やマグネシウム塩の指標を「硬度」(こうど)といいますが、この数値が100未満の水であれば、おおむね大丈夫だろうといわれています。
 まとめると、浄水器を通した水道水、もしくは硬度が100未満の日本産のミネラルウォーターが無難ということになります。ただし個々の猫によって合う水、合わない水というものがありますので、かかりつけの獣医さんに相談することも忘れないでください。 猫の下部尿路症候群
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